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泳ぎ方について

 

水泳の発達

水泳というのは陸上動物である人類が海や川の水上でも活動するための基本的な手段の一つです。これは人類が人類である以前から行われていたものと思われますし、太古の狩猟時代においては魚や海草・貝などを取る手段として、また島から島へと移動するための手段として使用されていたものと思われます。これはやがて船が発明されますと移動の手段としての価値は下がったと思いますが、船から事故によって放り出された時は泳ぐ必要がありましたし、釣りの技法発達により海中に入らなくても魚を取ることがことができるようになっても、海底の貝などを取るためにはやはり泳ぐ必要がありました。

文明が起こって来た頃、人類にとって泳ぐというのは一つは漁業のため、もう一つは戦争のためであったようです。海の上で戦争をやる場合、泳げない兵士は海に落ちたら死ぬしかありませんでした。しかしやがて文明が発達しギリシャやローマに文化が栄えるころになりますと、上流階級の間ではスポーツとして泳ぐということも行われていたようです。しかしヨーロッパの場合はその後キリスト教教会が水浴を淫らなものとみなして禁止したため、漁業従事者と海軍兵士以外は泳ぐということをほとんどしなくなりました。

しかしいくら禁止されても人間は水に入ると快感であることを知っていましたし、暑い日に水浴びするのがとても気持ちよいものであることは知っていました。そこで中世においても人々は密かに川や海に飛び込んで遊んだりすることはあったといいます。しかしヨーロッパでそういったことがおおっぴらにできるようになるのは実に18世紀になって近代思想が普及し、教会が人々の生活の全てを拘束できなくなる時代が来るまで待たなければなりませんでした。

一方日本では古代より大陸との交通の確保のため、宗像一族や安曇一族などの海の民が朝廷の保護を受けて栄えていました。遣唐使の廃止などで大陸との交流が少なくなりますと彼らも自然と勢いが衰えていきますが、彼らの技術と伝統の一部は中世に九鬼水軍・村上水軍などの各地の海上兵力として伝えられていきます。そして彼らの技術はやがて近世になって世の中が安定してきますと、各種の泳法として武士たちが修得するものとなります。この時期、特に江戸時代に各地で発達した泳法は現代では古式泳法と呼ばれ、幾つかの流派は現在でも伝承されています。

近代水泳法の始まり

1760年パリに公衆水泳場がオープンしました。そのあと1774年にフランクフルト・アム・マイン、1793年にハイリゲンダムにも公衆水浴場はオープンしています。この頃この水浴場に盛んに通ったのは台頭してきた中産階級の若者たちです。このころの泳法はだいたい「平泳ぎ」と「背泳ぎ」がメインだったようです。

1840年イギリスで「横泳ぎ」が発表されました。当初は足だけ動かして手はまっすぐ伸ばしていましたが、後に手も動かすやり方が考案されます。19世紀後半には「抜き手」が考案されます。これは腕は伸ばして交互に水を掻き、足はかえる足です。「クロール」の考案者はオーストラリアのヒーリーで1906年のハンブルグの水泳大会で初披露しました。更にこの泳ぎ方を1912年アメリカのカハナモクが改良し、現在のクロールの形式になっています。クロールが発明されると背泳ぎでもバッククロール方式の泳ぎ方も行われるようになります。

バタフライは1930年に生まれました。元々は平泳ぎのターンとゴールの時の技術だったのですが、それを競技中ずっとやる選手が出てきました。するとこれはやはり本来の平泳ぎではないのではないか、ということになり、この泳法をバタフライとして独立させることになったのです。このバタフライは後にドルフィンキックが取り入れられ現在の形になります。

現代の国際スポーツ競技大会では、自由形(クロール)、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライの4種目が行われています。一般の水泳ではこの他に立ち泳ぎも行われます。また泳ぎの苦手な人でも容易にできる泳法として犬かきがあります。

クロール

最も高速に泳げる泳法です。

水中で体はできるだけまっすぐにします。足は交互に動かします。片足を下に沈めると同時に膝を自然に曲げ、その曲がった足を蹴るように伸ばして水を掻きます。結果的に足を沈める時も伸ばすときも推進力が生まれます。腕も交互に動かします。片手を手首を曲げた状態で直角に水に入れ、そのまま腰のあたりまで水を掻きます。そうしたらひじから先に水から出るように腕を水上に出し、水上で腕を前へ持っていきます。一般に手で一回掻く間に足は2回キックしています。

息接ぎは何回かのストローク毎に1回、体が傾いている側で口から息を吸います。吐くのは水中で吐いておき時間を節約します。3ストロークに1回息接ぎする場合は左右交互に息接ぎすることになります。4ストロークに1回息接ぎする場合は毎回同じ方向で息接ぎすることになります。自分の肺活量に応じてそのリズムを見つけておく必要があります。

平泳ぎ

これは恐らく最も古い泳法の一つです。水を恐がる人は頭を水の中に入れたがりませんが、これでは浮力がでず大変です。基本姿勢はやはり水の中で体をまっすぐすることです。そうすれば人間の体はちゃんと水に浮くようにできています。

腕は手をすぼめた状態で水の抵抗のできるだけ小さい状態で前に伸ばします。そしてこんどは指を半ば開いた状態で最大の抵抗がでるようにして横方向に回転させた体に密着するところまで持ってきます。足も手を縮める動作と同時に縮めておき、手を伸ばすのと同時に足もグイと伸ばして水を掻きます。

体を縮めた時自然と頭が水面から出ますので、このときに息接ぎをします。腕をのばしている最中に水中で息を吐いておき、水面に顔が出たとき吸い込みます。

バタフライ

蝶々が羽ばたくようだということでバタフライと言いますが、イルカの泳ぎ方に似ているとしてドルフィンともいいます。

両足はそろえて一緒に動かします。これはイルカの尾の動きをします。手も左右一緒の動きで足と連動します。足がまっすぐのびた状態のところで腕を腰の付近から左右同時に水上に出し前に運んで水面を打ち、水を掻きます。足は腕が水面につくのと同時に下に押し下げ、自然に膝が曲がるようにし、そのまま伸ばして水を押します。そして腕が胸くらいに来た時点で再度足で水を下に押し、腕が腰付近に行く頃再度伸ばして水を蹴ります。腕1回転の間に足は2度キックする訳です。水泳選手以外では腕1回転の間に1キックしかしない人もいるそうですが、水泳の競技会以外でわざわざこんな泳ぎ方をする人がそういるとは余り思えません。

息接ぎは腕が腰付近に近づいて来る頃に自然に頭が水面に出ますのでその時に吸い込みます。吐くのは当然水中です。

背泳ぎ

背泳ぎといっても色々な泳ぎ方があるようです。水泳大会では一般にクロールを裏返した形の泳ぎ方が行われます。一時期はスタートした後全く息接ぎをせずに水中で数十メートル泳ぐ「バサロ泳法」が行われていましたが、やはりこれは背泳ぎとはいえないのではないかということでソウルオリンピック以降、競技会では禁止されました。

水泳選手でない一般の人は通常もっと楽な背泳ぎをします。これは平泳ぎの要領で足を動かし、腕は前に伸ばした状態から水面にいれて斜め下へ体を浮かすような方向に水を掻きます。この背泳ぎでは体をまっすぐするのがコツで、水を恐がって斜めになってしまうと体は沈んでしまいます。

抜き手

これは足は平泳ぎの要領で動かし、腕はクロールのように動かすものです。クロールよりも簡単に覚えられる泳法といえるでしょう。

犬かき

足はバタ足ですが、うでをまっすぐにのばさず胸の前で小さく細かく動かします。顔を水面からあげたままにできるのが長所で、息接ぎを覚えなくても取り敢えず泳げる泳法です。しかし概してエネルギーを消費し長時間はもたない泳ぎ方ですので、あまりお勧めはできません。


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