仏教の経典

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さて、みなさんは仏教の経典というと、どのようなものを思い浮かべられるでしょうか?

まずは必ず出てくる般若心経。わずか266文字の短いお経です。

この般若経の系統にはほかに大般若経、仁王般若経などがあります。特に大般若経は600巻もあり、通常のお勤めではとても全文読めないので、数人がかりで転読で済ませます。ここで転読というのは、最初にお経の名前と巻数を唱えた上で、滝を落とすようにパラパラパラと経典のページを流し落とし、それで1巻読んだことにするというものです。それでも一人では1巻10秒かかったとして1時間半かかりますから、10人がかりくらいでやらないとたまりません。

天台宗や日蓮宗などでは法華経を重視しています。これはそのままSF映画にでもしたいような、ビジュアルな内容の経典です。この法華経の中の第25品は単独で「観音経」としても読まれています。観音経も般若心経同様、在家信者の写経の対象になっています。

奈良の大仏は華厳経の教主・毘盧遮那如来ですが、この華厳経もまた物語性の強いお経です。特に後半の善財童子が53人の賢者を訪ねて真理の道を探求するところは有名で、東海道五十三次はこの善財童子にちなんで選定されたものです。

密教の経典では、大日経と金剛頂経がその二大経典となっています。大日経の教えを絵にあらわしたのが胎蔵曼陀羅、金剛頂経の教えを絵にあらわしたのが金剛界曼陀羅で、この2つの曼陀羅は通常ペアにして供養されています。

浄土系の宗派では浄土三部経といわれる、無量寿経・阿弥陀経・観無量寿経が重視されます。釈迦の保護者であった頻婆沙羅王・阿闍世王の物語や、阿弥陀如来の前世の物語などが描かれています。

聖徳太子が重視した経典は法華経・勝鬘経・維摩経です。勝鬘経は珍しく女性の信者・勝鬘夫人が主人公になっている経典で、女性の信者のために聖徳太子はこの経典をよく講義したようです。内容は仏の教えをやさしく解説したものです。維摩経は私の大好きな経典のひとつで、維摩という在家の信者が主人公になっています。多くの仏弟子が維摩にやりこめられてしまったため、最後はとうとう智恵第一の文殊菩薩が維摩の許に赴き、二人の間で非常に象徴的なやりとりが繰り広げられます。この物語も法華経同様、映画化するとおもしろいものが作れそうなビジュアルな物語です。

法句経は初期の経典のひとつで、詩の形式をとっており、日常のいろいろな場面において真理の道に関するいろいろな思いが綴られています。

涅槃経は釈迦が入滅してから10個の舎利塔が建立されるまでのできごとを描いています。

なおこの法句経や涅槃経、また六方礼経・仏本行実経など、初期の頃の経典の全体を阿含経といいます。

また、我が国では弘法大師空海と伝教大師最澄の対立の原因になったことで有名な理趣経はいかにも密教らしい経典です。内容は人間の性の営みを賛美するもので、性の歓びの中に実は菩薩の境地があるという、現代のユング心理学にも通じる真理が説かれています。真言宗ではこの経典を適当に解釈して堕落するものがないよう、ある程度しっかりと修行を終えた者にしかこの経典を修することを許していません。

この他日本で作られたお経も多数あります。浄土真宗の教団を確立した蓮如上人は在家の信者が毎日のお勤めに使えるように浄土仏典のダイジェストを作成し、これは「正信念仏偈」として今も多くの人々に読まれています。また日本に曹洞宗をもたらした道元禅師は大著「正法眼蔵」をまとめ、これは禅宗全体で広く読まれているようです。

実際に仏典を読みたい場合、まず般若心経は多くの解説書が出ています。法華経(含観音経)は岩波文庫から幾つかの原本を勘案して編集したものが出ています。法華経はマンガ化もされています。その他主な経典は、宗派別にまとめられた「お経の本」が複数の出版社から出ていますので、それを読むとよいでしょう。

そういったものに含まれない経典については、大正時代にまとめられた大正大蔵経を参照するとよいと思います。大きな図書館には置いてあるはずです。

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