電報の日(11.5)

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電報の日(11.5)

11月5日は電報を依頼する電話番号115にちなんで「電報の日」です。

私が小さい頃などはまだ電話のある家庭は限られていたこともあり、電報は重要なコミュニケーションの手段でした。母が病気の時に長期出張中の父に連絡して一時的に帰ってきてくれるよう頼むのなどに、電報電話局まで雪の中を走っていって電報を打ったりしていました。

しかし今や電話は1家庭に1台という時代を過ぎて、1人に1台の時代になっています。仕事とプライベートの使い分けなどで1人で複数台使用している人も多いでしょう。こういう時代に、電報にはかつてあったような「緊急連絡」という意味合いは全く無くなってしまいました。

現在の電報の主力は結婚式のお祝い・葬式のお悔やみといった慶弔に関わるものです。それもここ数年は郵便局のレタックスとの競合が始まっており、今後どうなっていくかは予断を許さない部分があります。現在NTTはインターネットから電報が送れるD-Mailのサービスを行っていますが、レタックスに対抗して文字だけでない世界に進んでいくのかも知れません。その場合、今の段階ではネットの世界でグリーティングカードを完結させている民間のYnotなどの動向も気になってくるところです。

電報の主力が慶弔になってきていることから最近では電報自体の料金より、外側のパッケージや添付品の方が問題になってきています。電報が生活上の通信手段であった時代は、如何にして電文の文字数を減らすかということに頭を使っていたのですが今はそういう問題は気にされない時代になりました。

現在人気のあるパッケージとしては、押し花電報・刺繍電報・メロディ電報・キャラクタ電報・ぬいぐるみ電報などがあります。漆塗り電報もアイデアは良かったと思うのですが、闇金融の嫌がらせにかなり使用されたためすっかり悪いイメージが定着してしまいました。

電報は初期の段階ではモールス信号による電信で送られていました。最初にこの原理を考案したのは1833年アメリカのサミュエル・モース(Samuel Finley Breese Morse, 1791-1872)です。彼の名前は日本では「モールス」と音写され、そのため彼が考案した符号は「モールス信号」と呼ばれています。彼は元々は画家なのですが1832年頃からほとんど絵は描かなくなり突然電気工作に夢中になって1833年にもっとも基本的な電信の実験を成功させるとその改良に取り組み1835〜38頃にほぼ電信のシステムを完成させました。モールス信号の体系もこの時期に作られたものです。

彼は1844年には政府の許可を取ってワシントンとボルチモアの間に60kmにわたる電信線を設置。このシステムの効用をアピールしました。この電信線の完成時に送った電文が有名な「What hath God wrought」でした。ちなみにTelegraphのgraphとは元々wrightという意味です。つまりtelegraphは直訳すれば遠隔筆記ということになります。彼はこのあと更には潜水艦の電信システムも手がけています。

彼のシステムは1848年にThomas Hall-Bostonが打鍵しやすいように改良。1852年にはポータブルな打鍵機器が開発されました。その後様々な人によりシステムはより打鍵しやすいように、より出力が出るように改良されていきます。そして無線による電信システムが発明されたのは1904〜1905年頃です(モースの潜水艦電信システムは有線!だった)。無線で電信を送るには有線の時よりずっと大きな増幅が必要なのでその付近の開発が結構大変であったようです。

日本で電報のサービスが始まったのは1869年ですから、さほど世界の情勢に遅れていません。日本の明治維新というのは、ちょうど19世紀の様々な技術革新が進行中であった時代にちょうどシンクロしているため、西洋諸国とさほど差の無い状態で技術革新が行われています。日本はあの時期に開国して西洋技術を導入したのが、とても運が良かったと私はしばしば思います。

モールス信号の栄光を揺るがす発明となったのが1920年のテレタイプの発明でした。電信の場合は送信側で人間が打鍵し受信側でも人間がツツツーという音を聞いて書き留めて行かなければならない訳ですが、テレタイプならこちらのタイプライターで打ったものが向こう側にそのまま印字されます。タイプライターを打てる人なら誰でも通信をすることができる訳で、それまでモールス信号をきちんと打てるようになるまでかなりの訓練が必要であったのが不要とあって、大きな衝撃となります。

更には1931年にはこのテレタイプを電話交換網に乗せたテレックスのサービスが開始されます。テレックスは1980年代にアメリカが電子メール技術を一般の人でも利用できるようにするまで、商業通信の主役として活躍しました。日本では戦争などのせいで導入がおくれ1956年9月1日に日米間のテレックスが開通。同年10月25日に東京大阪間のテレックスが開通しています。

そして今やインターネットの時代。電話でさえIP電話の登場により音声がネットを通して送られる時代になりました。現在電報の申し込みは115番に掛けて電話で申し込むよりも、ネットやiModeから申し込むかコンビニで申し込む方が一般的になってきているものと思われます。

この先、電報にはどのような展開が待っているのでしょうか。


(2004-11-05)

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