バッテリーの日(12.12)

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バッテリーの日(12.12)

さて11月11日「電池の日」の続きです。

12月12日は以前は「カーバッテリーの日」だったのですが、1991年に「バッテリーの日」と改称されました。理由は聞いていませんが、やはりバッテリーといえばカーバッテリーが主であった時代から、それ以外の場でもバッテリーが注目されるようになってきたからでしょうか?

日本語でバッテリーといえば蓄電池の意味なのですが、英語のbatteryは一般に電池の意味です。特に区分する場合は、rechargeable batteryなどとも言うようです。専門家は一次電池・二次電池という言い方もします。英語でも普通の電池をprimary cell/primary battery, 蓄電池をsecondary battery,secondary cell などともいいます。

バッテリーの語源はラテン語のbattuereで「打つ」という意味。バッターとかバトルなどと同じ語源です。そこから砲台のこともバッテリーと呼んだので、電気を発するものとか、ボールを発するものということで、電池や投手のこともバッテリーと呼ぶようになりました。後に野球のバッテリーは投手とその球を受ける捕手の組の意味に変化しています。

バッテリーの日が12月12日になったのは、一二が回路図の電池の記号に似ているからかな?と思ったのですが、野球のバッテリーからの連想で、野球の投手と捕手の位置番号が1と2だからということだそうです。1985年に日本蓄電池工業会(現・電池工業会)が定めたものです。

さて普通の電池も蓄電池も、化学反応により電気を起こしているのは共通なのですが、蓄電池の場合は電圧を逆に掛けることにより放電の時と逆の化学反応を起こして、電気を起こす力を貯めることができるようになっています。普通の電池にはこのような特性がありませんから、普通のマンガン電池やアルカリ電池を無理矢理、充電器につないだりすると、異様に発熱したり爆発する危険もありますので、絶対にしてはなりません。

現在日本国内で使用されている蓄電池には、鉛電池・ニッカド電池、ニッスイ電池、リチウムイオン電池の4種類が主にあります。

鉛電池は1860年にプランテ(Raimond Lous Gastorn Plante)が発明したもので、現在、カーバッテリーやコンピュータのUPS(無停電電源装置)などに使用されています。フル充電した状態で使い続ける(浮動充電)のが前提の場で力を発揮しますので、車の運転により常に充電され続けるカーバッテリーや、通常電源で常に充電され続けるUPSには最適です。この鉛電池の泣き所は深い放充電に弱いことで、一度完全に放電させてまた充電するということを繰り返すと、5〜6回程度で寿命が来てしまう場合もあります。また放電しきった状態で長時間放置すると、サルフェーションという現象が起きて電池が使い物にならなくなってしまいます。カー用品店で売っているバッテリー添加剤はこのサルフェーション防止の効果があります。

ニッカド電池(ニッケルカドミウム電池,NiCd電池)は1899年にスウェーデンのユングナー(Waldemar Jungner)が発明したもので、アルカリ蓄電池と言われる場合もありますが、アルカリ蓄電池という場合はニッケル鉄電池(NiFe)も含めます。NiFe電池はユングナーの翌年エジソンが発明したものです。

ニッカド電池は鉛電池とは逆に深い放電と充電を繰り返す用途に向いており、電源から離れたところで長時間使用される、電気シェーバー、ノートパソコン、携帯電話などに使用されてきました。こちらは逆にフル充電のまま電源をつないだままでの使用を続けると短期間で電池の寿命を縮めます。また、フル放電する前に充電を始めると「メモリー効果」といって本来のフル充電位置より浅い所をフル充電位置であるかのように電池が思いこんでしまい、結果的に電池の容量が小さくなってしまうという問題が起きます。また素材に使用されているカドミウムは環境破壊の原因になるとして近年問題視されるようになってきました。

このため最近急速にNiCd電池の代替として使用されるようになったのがニッスイ電池(ニッケル水素電池)で、松下電器の商品名からメタハイ電池とも呼ばれます。記号ではNiMHと書かれることが多いようです。

ニッスイ電池は電極に水酸化カドミウムの代わりに水素吸蔵合金を使用しています。ニッカド電池と同じ1.5Vの電圧を持つため、簡単にニッカド電池の代用として使用することができました。電気工作の得意な人は自分で、ニッカド電池の代わりにニッスイ電池を入れて電化用品を使用したりしていたようです。またニッスイ電池はニッカド電池よりメモリー効果が小さいという特徴があります。

さて最近パソコンや携帯電話ではリチウムイオン電池(Li-ion)を使用するものが多くなりました。これは1991年にソニーが開発したもので、正極に遷移金属(主としてコバルト)の酸化物リチウム化合物、負極に炭素を使用しています。ニッカド電池に比べて遙かに軽く電力も大きいのが特徴で、日常的に持ち歩くことの多い、携帯電話やノートパソコンには、最適のバッテリーです。またメモリー効果もないことから、携帯電話のようにメモリー効果のことを知らず、フル放電する前に充電し始める(継ぎ足し充電する)人の多い電化製品にも良く合っています。また最近は鉛電池に代わり、UPS用に使用されるケースも出てきました。鉛電池は極端に重いので、ホストコンピュータを運用する所では、しばしばUPSを設置するために床の強化をしなければならなかったのですがリチウムイオン電池なら軽いのでそのような工事の必要がありません(ただし価格的にはまだまだ高いようです)。

ただ、このリチウムイオン電池は過充電に弱く、充電しすぎると最悪爆発する場合もあります。日本国内で大手メーカーが製造しているものには過充電にならないよう、充電開始からのタイマー制御をしたり溶液の濃度チェックをしたりするなど、二重・三重の安全装置が付いていますので、そのようなことが起きることはありませんが、外国では粗悪品を使用して携帯電話が爆発したような事故もあります。一見、有名メーカーの商品のようにみえてもメーカー名が騙られている場合もありますので、パソコンや携帯の交換用バッテリーを買う場合は、確かな店で確かなメーカーのものを買うようにしましょう。

さて最後に、ノートパソコンの超長時間駆動や車の(バッテリーではなく)動力そのものに使用することを想定して現在各国の多くのメーカーで開発にしのぎを削られているのが、燃料電池です。

これは水素が酸素と結合して水になる途中の過程で、水素イオンと電子に分かれたところを、その電子が酸素の所までたどりつく間の流れを利用して電気を起こしているもので、純粋な水素を利用すれば排ガスなどの心配のないクリーンエネルギーですし、水素を話題の夢の物質カーボンナノチューブなどを利用して大量に蓄えておけばかなり長時間エネルギーを供給し続けることができます。水素のかたまりを大量に蓄えるというのは危険ではありますが、何重もの安全機構の採用が評価され、現在アメリカでは燃料電池の航空機内への持ち込みが許可されるようになりました。日本でも近い内に関係する法律が改訂されることが見込まれています。

未来の自動車は全てこの燃料電池で動くようになり、ガソリン車は無くなるだろうとも言われており、世界の自動車メーカーの間では、燃料電池の開発競争に勝ったところだけが次の世代に生き残ることができるとも言われています。2002年にはトヨタとホンダが製作した燃料電池カー(FHCV,FCX)が日本政府に1台ずつ納品され、官邸と経産省で使用されています。また先日の愛知万博でも日野製の燃料電池バスが走っていました。

現在はこの水素燃料自体の供給体制がありませんが、将来的には全国のガソリンスタンドで水素の充填が可能になるだろうと言われています。また、現在はトヨタのFHCVが月額リース料120万円、ホンダのFCXが80万円というのが公式の価格ようで普通の人には手が出ない超高額ですが、ホンダが今年アメリカのラスベガス市に納入したFCXは月額6万円という価格になっており(但しこれは宣伝用も兼ねた超破格値らしい)、今後燃料電池に関する技術が上がってくるにつれ、価格は急速に下がってくるものと思われます。少なくとも、過去の鉛電池を使用した電気自動車は10年以内に姿を消すでしょう。

なお、トヨタのベストセラー・ハイブリッド車プリウスは、トヨタと松下の合弁企業・パナソニックEVエナジー社が開発したNiMH電池を使用しています。鉛電池だと車体が重くなり燃費が落ちるのを嫌ったのでしょうか。ただNiMHはメモリー効果があるので、それが起きにくいような充放電の微妙なコントロールをしているようです。メーカーによってはもっと軽くメモリー効果も無い、リチウムイオン電池の採用を検討しているところもあるようですが、車のバッテリーはパソコンなどより厳しい環境で使用されるので、液漏れによる爆発事故防止のため、かなり厳重な安全装置を作らなければならないのが課題のようです。


(2005-12-12)

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