一宮(いちのみや)

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一宮(いちのみや)

 一番初めは一宮(いちのみや)
 二に日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)
 三は讃岐(さぬき)の金比羅(こんぴら)さん
 四は信濃(しなの)の善光寺(ぜんこうじ)
 五つ出雲(いづも)の大社(おおやしろ)
 六つ村の天神(てんじん)さん
 七つ成田(なりた)の不動(ふどう)さん
 八つ八幡(やはた)八幡(はちまん)さん
 九つ高野(こうや)の弘法(こうぼう)さん
 十で所(ところ)の氏神(うじがみ)さん。

このわらべ唄にも歌われている「一宮(いちのみや)」というのは、昔の各国において、その国に国造(くにつくり)が着任した時最初に詣でる神社として選定された、いわばその国の神社の代表のようなものです。又何か国内の神社に通達を出す場合、必ず一宮に最初に通達する慣例となっていました。

だいたいにおいてはその地方でもっとも有力な神社が選ばれていますが、有力ではあっても修験道系などの仏教色の強い神社は選ばれないこともあり、たとえば伊予国(愛媛県)では石鎚(いしづち)神社ではなく大山祇(おおやまずみ)神社が選ばれていますし、出羽国(山形県)では出羽神社ではなく大物忌神社、伯耆国(鳥取県)では大山(だいせん)の大神山(おおがみやま)神社ではなく倭文(しとり)神社になっています。

しかし、この一宮というのは制度的にさだまったものではなく、また時代的に揺れがあるようですし、神社が移転を重ねて昔の神社と今の神社の対応が分からなくなってしまっているものもあります。その結果現在、同じ国の中で「自分が一宮である」と称している神社が複数あるケースもあります。そんな中で特に重要な資料となるのは次の二つの文献でしょう。

 『大日本一宮記』(室町時代のもの)
 『一宮巡詣記』橘三喜,江戸時代(延宝3〜元禄10まで23年掛けて巡詣)

これはいづれも全国66個の神社を選んでいるとのことです。下記に手元の資料に見る一宮のリストをあげましょう。

A                B           C
畿内---------------- 5社
 山城 上賀茂神社&下鴨神社       同左          加茂大明神
 大和 大神神社             同左          三輪大明神
 河内 枚岡神社             同左          枚岡大明神
 和泉 大鳥神社             同左          大鳥大明神
 摂津 住吉神社             同左          住吉大明神
東海道-------------- 15社
 伊賀 敢国神社             同左          敢国大明神
 伊勢 椿大神社・都波岐奈加等神社    椿大神社        都波大明神
 志摩 伊雑宮・伊射波神社        同左          伊射大明神
 尾張 真清田神社            同左          大神神社
 三河 砥鹿神社             同左          砥鹿大明神
 遠江 小国神社             小国神社・事任神社   事任大明神
 駿河 富士山本宮浅間神社        同左          (欠落)明神
 伊豆 三嶋大社             同左          三島大明神
 甲斐 浅間神社             同左          浅間大明神
 相模 寒川神社             同左          寒河大明神
 武蔵 氷川神社・小野神社        氷川神社        氷河大明神
 安房 安房神社             安房神社・洲崎神社   洲崎大明神
 上総 玉前神社             同左          玉前大明神
 下総 香取神宮             同左          香取大明神
 常陸 鹿島神宮             同左          鹿島大明神
東山道-------------- 8社
 近江 建部大社             同左          建部大明神
 美濃 南宮大社             同左          南宮大明神
 飛騨 水無神社             同左          水無(欠落)
 信濃 諏訪大社             同左          南方刀美(欠落)
 上野 一宮貫前神社           同左          抜鋒大明神
 下野 日光二荒山神社・宇都宮二荒山神社 日光二荒山神社     二荒大明神
 陸奥 都都古和気神社          同左          都々古和気神社
 出羽 鳥海山大物忌神社         同左          大物忌大明神
北陸道-------------- 7社
 若狭 若狭神社             若狭彦神社       遠敷大明神
 越前 気比神宮             同左          気比大明神
 加賀 白山比ロ羊神社           同左          白山比ロ羊神社
 能登 気多神社             同左          気多大明神
 越中 高瀬神社・気多神社        気多神社・射水神社・  (欠落)大明神
                     高瀬神社・雄山神社
 越後 弥彦神社・居多神社        同左          (欠落)
 佐渡                  度津神社        (欠落)
山陰道-------------- 8社
 丹波 出雲大神宮            同左          (欠落)大明神
 丹後 籠神社              同左          籠大明神
 但馬 出石神社・栗鹿神社        出石神社        出石大明神
 因幡 宇部神社             同左          宇部大明神
 伯耆 倭文神社             同左          倭文大明神
 出雲 出雲大社             熊野神社・出雲大社   杵築大明神
 石見 物部神社             同左          物部大明神
 隠岐 水若酢神社・由良比女神社     水若酢神社       由良姫大明神
山陽道-------------- 6社
 播磨 伊和神社             同左          伊和大明神
 美作 中山神社             同左          中山大明神
(備前 吉備津彦神社)          同左          
 備中 吉備津神社            同左          大明神
(備後 吉備津神社)           同左          吉備津大明神
 安芸 厳島神社             同左          
 周防 玉祖神社             同左          玉祖大明神
 長門 住吉神社             同左          住吉大明神
南海道-------------- 6社
 紀伊 日前国懸神宮           同左          日前大明神
 淡路 伊弉諾神宮            同左          伊弉諾大明神
 阿波 大麻比古神社・一宮神社      大麻比古神社      大麻彦大明神
 讃岐 田村神社             同左          田村大明神
 伊予 大山祇神社            同左          大山祇大明神
 土佐 土佐神社             同左          都佐大明神
西海道-------------- 9社
 筑前 筥崎宮・住吉神社         同左          筥崎大明神
 筑後 高良神社             同左          高良玉垂神
 豊前 宇佐神宮             同左          宇佐大明神
 豊後 西寒多神社・柞原八幡宮      同左          寒多大明神
 肥前 河上神社・千栗八幡宮       同左          与止日女大明神
 肥後 阿蘇神社             同左          阿蘇大明神
 日向 都農神社             同左          都農大明神
 大隅 鹿児島神宮            同左          鹿児大明神
 薩摩 枚聞神社・新田神社        枚聞神社        枚聞大明神
島部---------------- 2社
 壱岐 天手長男神社           同左          天手長(欠落)
 対馬 海神神社             和多都美神社・海神神社 (欠落)
 
※「大日本一宮記」は備前・備中・備後を代表して備中の吉備津神社をあげている。66社に合わせる為にそうしたものと思われる。
※金蔵寺の石碑はきわめて不自然に備前と安芸を外している。やはり66社に合わせるためであろう。
A:「別冊歴史読本・日本神社総覧」新人物往来社,1996
B:「日本廻国記・一宮巡歴」川村二郎著,河出書房新社,1987
C:同著に掲載された横浜市金蔵寺の石碑


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