月の神

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月の神

月読神(つきよみのかみ)

月読神は「三貴子」の一人です。創造神である伊弉諾(いざなぎ)神が宮崎の川の河口付近で禊(みそぎ)をした時、左目を洗った時に天照大神(あまてらす・おおみかみ)、右目を洗った時に月読神、そして鼻を洗った時に素戔嗚(すさのお)神が生まれました。そして伊弉諾神は天照に天の世界を、月読に夜の世界を、素戔嗚に海を統治するように命じたのです。

月読神の信仰の発生の地は日本国内に2ヶ所あります。ひとつが伊勢神宮で、ここは天照大神を祭る神社ですが、その弟神として月読を祭る神社もあります。太陽の象徴である天照大神と、月の象徴である月読神とが関連づけられて信仰されたのでしょう。

もうひとつの発生の地は出羽三山の月山(がっさん)です。ここは修験道(山伏)の聖地ですが、月山神社の御祭神は月読神になっています。

外国では月の神が太陽の神と並んで深く信仰されたケースが多々あるのですが、日本ではこの月読神は一般の人にはほとんど知られていません。また神話自体も天照大神と素戔嗚神については多数あるのに月読神に関してはほとんどなく、河合隼雄氏は天照と素戔嗚という大神をトライアングルに仕上げるための「無為の神」ではないかと評しています。

月光菩薩(がっこうぼさつ)

神道の世界の月の神が月読であれば、仏教の世界の月の神は月光菩薩です。これは日光菩薩と並んで、薬師如来(やくしにょらい)の脇侍を務める菩薩で、それぞれ太陽の光・月の光により薬師如来の働きを助ける役割を果たしています。奈良の薬師寺や京都の東寺講堂などで見ることができます。

阿弥陀如来(あみだにょらい)

一般に阿弥陀如来を月の神と考える人はほとんどいないのではないかと思います。しかし私は日本で月の神の信仰があまり広まらなかったのは阿弥陀如来があったからかも知れないとも思っています。

阿弥陀如来は西方浄土の教主で、基本的には西に沈む太陽の象徴と考えられています。しかし神仏混淆においては月読神の本地(本体)が阿弥陀如来とされており、深夜遅くのぼる月を見ると、その月の中に阿弥陀如来が見えるという信仰もありました。

この月に関連した阿弥陀如来信仰は太陽に関連した大日如来信仰と対になって発生したのかも知れませんが、どちらかというと太陽に関しては神道側の天照大神への信仰が強く、月に関しては仏教側の阿弥陀如来信仰の方が強く広まったように思います。

なお、阿弥陀如来の脇侍は観音菩薩(かんのんぼさつ)と勢至菩薩(せいしぼさつ)です。阿弥陀如来が亡くなると、その後は観音菩薩が代わって西方浄土の教主になるとされています。ただし観音菩薩自体も現在南方補陀落(ふだらく)浄土を主宰しています。

阿弥陀如来は密教・禅宗などでも信仰されますが、特に深く信仰するのは浄土宗・浄土真宗です。浄土真宗の中興の祖である蓮如上人は現在でも在家信者のお勤めに使われている「正信念仏偈」をまとめましたが、その冒頭には

  帰命無量寿如来 南無不可思議光

とあります。「無量寿如来」「無量光如来」というのも阿弥陀如来の別名です。

トト

エジプトの月の神で主神ホルスの宰相と書記官を務める重要な神です。エジプトの神は一般にローカルな神が多く、多数の神々は何かの機能を持った神というよりそれぞれの町の守護神という性格が強いのですが、朱鷺の頭の神トトと山犬の頭の神アヌビスだけが例外で、エジプト全土で信仰されていました。日本の月の神が「月読」と呼ばれたようにトトも時を測る者としての認識がされていました。やはり月というのは重要な天然の時計であったのです。トトは記録の神・知恵の神・学識の神で、後にヨーロッパの神秘思想ではギリシャのヘルメスと同一視され神秘学の教主とみなされました。

ガブリエル

キリスト教の大天使ガブリエルは一般に月に関連付けられます。これに対して大天使ミカエルは太陽です。またガブリエルは出産と水に関連付けられており、ミカエルは死と火に関連付けられています。すなわち水の世界からこの世に生まれる時にガブリエルの守護があり、死んで火により浄化される時にミカエルの守護があるとされます。また基本的に天使には性別はないともされるのですが、一般にはガブリエルは女性、ミカエルは男性と信じられています。またガブリエルは節制をミカエルは慎重を表します。

マリアに神の子供ができたことを伝えた(懐胎告知)のはガブリエルであるとされます。そして、最後の審判が始まるときのラッパを吹く天使であるともされます。

ガブリエルは四大天使・七大天使の一人です。四大天使とはミカエル・ガブリエル・ラファエル・ウリエルですが、この四大天使を呼び出す時には次のように唱えるとされます。

   わが前にはラファエル、
   わが後ろにはガブリエル、
   右手にはミカエル、
   左手にはウリエル
 
この呪文は日本の陰陽道で四神に祈る時の呪文に似ています。すなわち

   左に青龍、右に白虎、前に朱雀、後ろに玄武。

天使召喚は東を向いています。陰陽道のは南を向いています。つまり方位を軸にして表にすると次のようになります。

キリスト教の天使向き方位向き陰陽道の四神
ミカエル(火) 朱雀(火)
ガブリエル(水)西白虎(金)
ラファエル(風)青龍(木)
ウリエル(地) 玄武(水)

ダイアナ

英語圏ではダイアナと呼びますが、ローマ神話ではディアナ、ギリシャ神話ではアルテミスまたはセレネと呼びます。先頃亡くなったイギリスの元皇太子妃もこの名前でしたし、セーラームーンにはダイアナ・アルテミス・セレネ(セレニティ)と登場していますね。

月と狩猟の神で、太陽神のアポロンとは双子の妹、冥界の女王ヘカテとは従姉妹どうしになります。アポロンが火のたてがみの馬に引かせた金の馬車を操って空を駆けるのに対し彼女は夜間白馬に引かせた銀の馬車を空に走らせます。またしばしばヘカテと同様、しばしば松明を持つ姿で描かれます。ヘカテとアルテミスはそっくりであると言われます。

アルスミスは処女神ですが、エンデュミオン(これもセーラームーンに出てきました)という恋人がおり、彼の夢の中に現れて、処女のまま彼の子供を50人産みました。(たとえ何人子供を産もうとも男性と肉体的に交わらなければ処女なのでしょう)。彼女はまた誕生と多産の神でもあります。

エウリュノメ

エウリュノメは宇宙を産みだした太古の月の女神です。ギリシャ神話の中でも最も古い部分の伝承に含まれています。

宇宙の始めに、無の嵐が吹き固まって、「宇宙の蛇」オピオンを作った。オピオンには目がなかったが、それは彼が見るべきものが何も存在しなかったからである。彼は何かを捜し求めるように無の中をはいまわった。やがてその勢いで風が起こり、風が集まって無の中の一部が熱っせられ、そこが炎となって、女神エウリュノメが生まれた。彼女は月であった。

彼女はオピオンとともに無の中を踊り回り、彼女が歩いた所は海と空の境になった。オピオンの動きによって生まれた4つの風〜北風・南風・東風・西風〜が彼女に従って踊った。それらは彼女をとりまいて渦のように回った。

二人のダンスは静かにいつまでも続いた。やがてエウリュノメは鳥になって空に巣を作り、銀の卵を産んだ。この卵が太陽となり、地球となり、星となった。まだゼウスやガイアも生まれていない古き昔、宇宙はこの二人によって生み出された。

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