フニクリフニクラ

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フニクリフニクラ

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↓にまず2004年1月に書いた記事を挙げる。ここで大きな勘違いをしていたのであるが、それについては後述する。

お正月らしく楽しい歌をということでフニクリ・フニクラを取り上げてみま
した。まずは歌詞をあげます。Midiはこちら↓

Funiculi-Funicula  フニクリ・フニクラ

Aieressera, Nannine, me ne sagliette,
tu saie addo?  tu saie addo?
Addo 'stu core 'ngrato cchiu dispiette
farme nun po! farme nun po!
Addo lo fuoco coce, ma si fuje
te lassa sta! te lassa sta!
E nun te corre appriesso, nun te struje, 
'ncielo a guarda!  'ncielo a guarda!
Jammo, jammo,  'ncoppa, jammo ja',
Jammo, jammo,  'ncoppa, jammo ja',
funiculi, funicula!
funiculi, funicula!
'ncoppa, jammo ja',
funiculi, funicula!

【問】夕べばあやがボクをどこかに登らせてくれたんだけど
それはどこか知らない?(それはどこか知らない?)
どこに行ったらこのもやもやした気分を
晴らせるのかな?(晴らせるのかな?)
【答】火が燃えている所はどう?行きたくないなら
置いてくけど(置いてくけど)
それは近くを走ってはないけど、飽きることはない
さあ、空を見てみて!(空を見て)
行こう、行こう、上に行こう、行こう、行こう
行こう、行こう、上に行こう、行こう、行こう
フニクリ・フニクラ、フニクリ・フニクラ
上に行こう
フニクリ・フニクラ

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先日「サンタルチア」を既に訳していたことをきれいに忘れていたので、
この「フニクリ・フニクラ」もどこかで訳してなかったかなと探したのですが
見つかりませんでした。で、いろいろ見ている内に、この歌は前回挑戦した時
は、そもそも「言語」の問題で挫折していたのだということを思い出しました。

フニクリ・フニクラの原語の歌を聴いて、ヨーロッパの言葉に詳しくない人は
きっとイタリア語なのだろうと思うかも知れませんが、少しイタリア語をかじ
った程度の人(私など)に上記の歌詞は意味不明です。

実はこの歌はナポリ語で書かれているのです。

イタリアは元々ナポリ、フィレンツェ、ジェノヴァ、ローマなどといった、
多数の都市国家群で形成されていました。イタリアが統一されるのはフランス
革命後にナポレオンが出てきてからで19世紀半ばのことです。イタリア統一戦争
の最大の激戦地といわれたのが「ソルフェリーノの戦い(1859)」で、この戦争の
悲惨さを見たアンリ・デュナンが『赤十字』を設立したことは有名です。

ということでイタリアでは言語にしても元々統一された「イタリア語」といっ
たものはなく、現在私たちが「イタリア語」と読んでいるのはトスカーナ語を
ベースに近年固まってきたものにすぎません。そこでイタリアの中でもナポリ、
ミラノ、サネディーニャなどで話されている言葉は「方言」という枠を越えて、
独立の言語に近いものがあります。日本語における、沖縄方言やアイヌ語という
よりは、多分、日本語と韓国語くらいに違うのではないかという気がします。

実はカンツォーネにはナポリ語で歌われているものが結構多く、そういう歌が
イタリアで放送される時にはイタリア語訳の字幕スーパーが出るそうです(^^;

このフニクリ・フニクラなどもそのナポリ語で書かれているので、ナポリ語の
辞書でもないと解読不能なのですが、今回幸いにも歌詞をイタリア語に訳した
ものを入手することができまして、おかげでそれを参考にして、元の歌詞の
意味をたどることができました。

Jammo Jammo という繰り返しはイタリア語訳では Andiamo になっていました。
英語ならLet's Go! ですから、この歌の有名な清野協・青木爽訳の「ゆこう」
と訳したのはそのまま直訳だったようです。

上で「ばあや」と訳したNannineは英語のNannyだと思います。子守役。子供の
世話役・遊び相手。バンクスさんの家に来たメリー・ボビンズがnannyでした。
日本では「ばあや」という呼び方が一般化していますが、むろん若い女性の
場合もあります。

歌詞の前半は子供が昨日連れて行ってもらったところがどこだったんだろうと
尋ねているのに対して、後半はそれに答える形で「フニクリ・フニクラ」に
行こうと誘っています。

フニクリ・フニクラというのは1880年にナポリに出来たヴェスヴィオ火山への
登山鉄道の名前で、この歌はその登山鉄道にお客さんを勧誘するためのCM
ソングとして作られたものです。これは世界で最初のCMソングと言われて
います。当時としては驚異的な1万枚ものセールスをあげたそうです。作詞者は
Giuseppe Turco(1846-1903), 作曲者は Luigi Denza(1846-1922) という人です。

この歌は以前NHKの「みんなの歌」で上述の清野協・青木爽訳で紹介されました
が、最近では「鬼のパンツ」のタイトルで子供向け番組などでも良く聴く機会
があります。「鬼のパンツ」の作詞者は初め伏せられていましたので現在でも
「作詞者不詳」と書かれた文献が多いのですが、実は、この歌を歌い始めた
田中星児本人であったのだそうです。

なおヴェスヴィオ火山というのはAD79年8月24日には大規模な噴火を起こして、
ポンペイ(Pompeii)の町を埋没させてしまった火山です。ポンペイはナポリの
南東20kmほどの場所で、バスで30分ほどで行くことが出来ます。ナポリは
ヴェスビィオ火山の西側の町ですが、ポンペイは同火山の南側の都市です。

(2004-01-02)

↓以下は2007.01.03の追記である。
この歌詞を解釈する上で鍵となるのが、Nannineという単語なのだが、私はここで大きな勘違いをしていたのである。これを私は「乳母」と解釈してしまったのだが、これはそのまま「ナニーネ」という人名と解釈するのが自然ではないかと考え直した。すると、この詩の意味は全く異なってくるのである。この歌詞はむしろ男女のやりとりで、男がなかなか靡いてくれない女を口説いているのではと思えるのである。

それともう1点。これは昔この歌を日本語で聴いた時、AメロとBメロを別の歌手が歌っていたので、そのイメージがあって、前半は男のセリフ、後半は女のセリフと思ったのだが、実際のナポリ語の歌唱をいくつか聴いてみたのでは、実際には1人の男性歌手が通して歌っている。となると、実は後半も女のセリフではなく、男のセリフの続きなのではという気もしてきたのである。すると、ことばの解釈の仕方がまた変わってくる。それにもとづいて書き直してみたのが下記である。

Aieressera, Nannine, me ne sagliette,
tu saie addo?  tu saie addo?
Addo 'stu core 'ngrato cchiu dispiette
farme nun po! farme nun po!
Addo lo fuoco coce, ma si fuje
te lassa sta! te lassa sta!
E nun te corre appriesso, nun te struje, 
'ncielo a guarda!  'ncielo a guarda!
Jammo, jammo,  'ncoppa, jammo ja',
Jammo, jammo,  'ncoppa, jammo ja',
funiculi, funicula!
funiculi, funicula!
'ncoppa, jammo ja',
funiculi, funicula!

ねえ、ナニーネ。僕は昨夜ある高い所に登ったのだけど、
それがどこか知ってる?(それはどこか知ってる?)
君の冷たいハートがもはや僕を苦しめない場所。
君が僕をいじめるから(君が僕をいじめるから)

火が燃えている所でさ。君が逃げるなら、
君を放ってくれる(君を放ってくれる)
山は君を責めないし苦しめない。
だから、空を見て!(空を見て!)
行こう、行こう、上に行こう、行こう、行こう
行こう、行こう、上に行こう、行こう、行こう
フニクリ・フニクラ、フニクリ・フニクラ
上に行こう
フニクリ・フニクラ
実際にはこの男女は既に登山電車の駅前くらいまで来た上でこんなやりとりをしているのかも知れないという気もしてくるのである。
↓ナポリ語版
↓日本語版
↓鬼のパンツ
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