↑ ■日本の国名について

この国は古くから色々な呼び方で呼ばれてきました。それを少しあげてみましょう。

●大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま)

古事記の、日本列島が生まれるところで本州の名称として使用されています。しかし後にはこの「やまと」あるいは「あきつしま」という名称自体が日本の国自体を指す名称としても使用されるようになりました。秋津というのはトンボの古名で、トンボが多数飛び回るほど作物が豊かに実る国、という意味です。

●大八島国(おおやしまのくに)

古事記の同項。日本列島が生み出された時、8つの島が最初に作られたということで、この国全体をこのように呼びました。この8島とは次のものです。

淡道之穂之挟別嶋あわじのほのさわけじま 淡路島
伊豫之二名嶋 いよのふたなのしま 四国
隠伎之三子嶋 おきのみつごのしま 隠岐
筑紫嶋 ちくしのしま 九州
伊伎嶋 いきのしま 壱岐
津嶋 つしま 対馬
佐度嶋 さどしま 佐渡島
大倭豊秋津嶋 おおやまととよあきつしま本州

●豊葦原之千秋長五百秋之水穂国(とよあしはらのちあきながいほあきのみずほのくに)

古事記の葦原中国平定の項で最初に呼ばれる名前です。葦が豊かに生えていて、秋の実りが豊かで、水が豊かで稲穂がたくさん広がっている国、ということでしょう。短くして、豊葦原国とか水穂国(瑞穂国)などとも呼ばれます。

●葦原中国(あしはらのなかつくに)

その少し後で、このような呼ばれ方もしています。葦原は同じですが、中国(なかつくに)とは、高天原(たかまがはら−天)と根国(ねのくに−冥界)の中間にあることを示しています。なおそれよりずっと前の黄泉の国の項でもこの言葉は出てきます。

●言霊の幸はふ国(ことだまのさきわうくに)

万葉集894の歌に出てくることば。ことばに潜んだ霊が幸福を与えてくれる国、というわけで、それだけ言葉というものを大事にする国であるとしています。

●言霊の助くる国(ことだまのたすくるくに)

万葉集3254の柿本人麻呂の歌に出てくることば。↑とだいたい同じ意味。

●神ながら言挙げせぬ国(かみながらことあげせぬくに)

万葉集3253の柿本人麻呂の歌に出てくることば。神様のなされるようにしておけばよい国で、人間が神様に色々要求したりする必要はない国である、という意味です。この言葉は日本の神の本質をついているように私は思います。明治時代から太平洋戦争に至る時代のように神様を勝手に利用しようとするのは間違いです。

●磯城島(しきしま)

敷島とも書きます。堅固に守られた国という意味で、山に囲まれた奈良地方を指す言葉ですが、日本の国自体をさすことばとしても使われました。

●やまと

大和・日本などという漢字も当てますが、その漢字については以下に書きます。「やまと」はまさに「やまとことば」であって、本来は漢字でかけるものではありません。

●和国(わのくに)

「和」は中国の古書にも書かれる日本民族を指すことば。「倭」あるいは「委」とも書かれます。志賀島から出土した金印(漢の光武帝が授けたもの)には「漢委奴國王」と刻印されていました。また魏志倭人伝にも「倭人」「倭国」の記述がなされています。また聖徳太子は十七条憲法の冒頭に「和をもって尊しとし」と書きました。これは国号に掛けて各勢力が融和してこの国を運営していこうという呼びかけでもあるのでしょう。

●日本(にほん)

和風に「ひのもと」と読むこともあります。日本は6世紀頃までは対外的に「倭」と称していましたが、7世紀後半の天武・持統朝付近から「日本」という新しい国号を使用しはじめたようです。これは次項に示すように「太陽が昇る国」という意味でしょう。なお「日本」を「にほん」と読むべきか「にっぽん」と読むべきかは昔から議論のあるところです。元々「ほ」という文字は古代には po と発音したので「にほん」と仮名を振れば古代の発音では nipon となった筈です。なお、郵政省の切手にはNIPPONと書かれています。

●日出処国(ひいづるところのくに)

聖徳太子が607〜609に小野妹子を隋に派遣した時、隋の煬帝(ようだい)に送った親書に「日出処天子、日没処天子に書を致す。恙無きや?」と書かれました。この文章は日本書紀では「東の天皇(すめらみこと)が西の皇帝(きみ)に」と書かれていますが、中国の方の文書にこの「日出処天子」の語句が残っています。

●神名を持つ国?

水樹和佳さんの「イティハーサ」(の3巻/集英社)に「この国は神名を持つ国」という説が提示されています。つまり「倭国」「日本」「瑞穂国」「葦原中国」「秋津島」「磯城島」「日出処国」これらはみなこの国の仮名にすぎず、ほんとうは誰も知らない神名があるのだというのです。これはほんとうにそうかも知れないと思います。

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