北欧神話の「宇宙樹」。
宇宙を貫いて生える木で、その梢は神々の世界アスガルド(Asgard)もつら
ぬき、幹はこの世ミッドガルト(Midgard),闇の世界(Niflheim)を通って、
根は巨人の国や死の国にも届く。
その根本にはウルドの泉があり、三人の運命の女神ノルン(Norn)が宇宙樹
が枯れないように泉の水を根本にそそぎ、傷口には粘土を塗って保護して
いる。地下にはニドヘグという毒竜がいてこの木を枯らすべく日夜根をか
じっている。
オージンはかつてこの木にぶらさがって自分を自分に捧げて槍で身を貫き、
それでルーン文字の秘密を学び知った。ユグドラシルとは、ユグ(恐ろし
き者:オージン)の馬(絞首台の意味を持つ)という意味である。
この木のもう一本の根本にはミミル(Mimir)の泉があって、この世の全て
の知識をたたえている。巨人族と戦うための知識が欲しかったオージンは
ここに来て泉の水を飲ませてくれといったが、番人は代償に片目を要求し
た。オージンは片目をえぐりとって泉に投げ込み、水を飲ましてもらった。
それ以後オージンは片目になりそれを隠すためにいつもつばの広い帽子を
かぶっていた。
【異説】
ユグドラシルの根は3本に分かれている。
1つの根は闇の世界ニフルヘイム(Niflheim)に達してフヴェルゲルミルの
泉が湧いている。ここにニドヘグという悪竜がいて根を食い荒らしている。
1つの根は巨人(Jotun)の世界ヨートゥンヘイム(Jotunheim)に達して無限
の知恵を蔵する蜜酒の湧く泉がある。この泉の主はミミル(Mimir)という。
彼はギャラルという角盆でこの泉の水を呑んで大きな知恵を得た。
3本目の根は神の国アスガルド(Asgard)に達してウルザンブルンという、
特別に神聖な泉が湧いている。その岸辺にはウルド(Ulud),ヴェルザンディ
(Versandi),スクルド(Skuld)という三人の女神ノルニル(Nornir)が美しい
館に住み、過去・現在・未来を司っている。この泉の水は全てのものを
清める力を持っているので、三人の女神は毎日この泉の水をユグドラシル
に掛けて木が枯れないようにしている。
木の枝にはとても物知りの巨大な鷲がとまっているがその鷲の両目の中間 にヴェルズフェルニルという鷹がとまっている。ラタトルスクというリス がいて、木の幹を上下してはこの鷲に根の所にいるニドヘグの悪口を言い ニドヘグには鷲の悪口を言って両者の反目を煽っている。また木の枝の間 に4頭の鹿がいて、ユグドラシルの葉を食い続けている。