sinwa(11)邇邇芸命と木花咲耶姫

さて地上の国が天照大神(あまてらすおおみかみ)の子に譲られることになったので、天照大神(あまてらすおおみかみ)は最初の予定通り天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)を下らせようとしますが、このとき天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)に子供が生まれたので、その子(天照の孫)邇邇芸命(ににぎのみこと)が代わって降臨することになりました。

この邇邇芸命(ににぎのみこと)には天岩戸(あまのいわと)事件の時の八尺勾玉と鏡、それに須佐之男神から献上された天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)三種神器(さんしゅのじんぎ)が渡され、やはり天岩戸事件に功績のあった神々、天児屋命(あめのこやねのみこと)布刀玉命(ふとだまのみこと)天宇受売命(あめのうづめのみこと)伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)玉祖命(たまのおやのみこと)思金神(おもいかねのみこと)手力男神(たぢからおのかみ)天石門別神(あめのいわとわけのかみ)などの神が付きしたがって地上へと降りて行きました。

この時、道の途中に何やら見知らぬ神の姿がありました。ここで居並ぶ神たちは恐れをなして近付きたがらないのですが、天宇受売神(あめのうづめのかみ)が様子を見に行きます。そして「あなたは誰ですか?」と尋ねるとその神は「私は国津神で猿田彦神(さるたひこのかみ)といいます。天孫が降りて来られると聞き、道案内をする為にやってきました」と言いました。

そこで一行は猿田彦神(さるたひこのかみ)に先導を頼み、地上へと降りて行きました。神々が降りて来た地は宮崎県の高千穂の地でした。(これが縁となって、のちに天宇受売神(あめのうづめのかみ)猿田彦神(さるたひこのかみ)は結婚します)



さて、邇邇芸命(ににぎのみこと)が地上に降りてからある時、海岸で一人の美女に出会います。邇邇芸命(ににぎのみこと)が名を尋ねると「私は大山津見神(おおやまずみのかみ)の娘で木花咲耶姫(このはなさくやひめ)といいます」と答えました。そこで邇邇芸命(ににぎのみこと)木花咲耶姫(このはなさくやひめ)に結婚を申し込むのですが、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)は謹み深く「私の父に言って下さい」と答えます。

そこで邇邇芸命(ににぎのみこと)大山津見神(おおやまずみのかみ)の所に行き、お嬢さんと結婚させてくださいというと、大山津見神(おおやまずみのかみ)は喜んで、では姉の石長姫(いわながひめ)も一緒に娶って下さいといい、たくさんの婚礼用品を添えて二人の娘を邇邇芸命(ににぎのみこと)の所にやりました。

この時、お祝いにお酒を造ったということから、大山津見神(おおやまずみのかみ)木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の父娘を酒の守護神ともします。(梅宮神社(うめみやじんじゃ)の項参照)

さて、石長姫(いわながひめ)木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の姉妹で邇邇芸命(ににぎのみこと)に嫁いだものの、石長姫(いわながひめ)の方は不美人だったため、邇邇芸命(ににぎのみこと)は「この娘はいらない」と言って返してしまいます。すると大山津見神(おおやまずみのかみ)は「石長姫(いわながひめ)とも結婚していたら、あなたの子孫は石のように永遠の命を持っていたでしょうに。木花咲耶姫(このはなさくやひめ)とだけの結婚でしたら、あなたの子孫は木の花のようにはかなく散り落ちていくでしょう」と残念そうにおっしゃいました。

さて、その木花咲耶姫(このはなさくやひめ)ですが、邇邇芸命(ににぎのみこと)とは一度しか交わらなかったのですが、その一回の交わりだけで妊娠してしまいました。木花咲耶姫(このはなさくやひめ)がそのことを告げると邇邇芸命(ににぎのみこと)は「たった1回交わっただけで妊娠するなんてことはありえない。それはどこかよその男の子供ではないのか」と疑いの言葉を返します。

その言葉を不快に思った木花咲耶姫(このはなさくやひめ)ですが、「これは間違いなくあなたの子供です。その証拠に私は火の中で子供を産みましょう。私が正しければ神の加護があるはずです」と言い、産気付くと家に火を付け、その中で3人の子供を産み落しました。その子供は産まれた順に、火照命(ほてりのみこと)火須勢理命(ほすせりのみこと)火遠理命(ほをりのみこと)でした。

なお、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)は火の中で子供を産んだということで、安産の神とされ子安神社(こやすじんじゃ)の御祭神とされます。また火の中というのが火山に通じるとして、後世には火山の神とされ、全国の火山に浅間神社(「あさまじんじゃ」と読む場合と「せんげんじんじゃ」と読む場合がある)の御祭神として祭られるようになりました。中でも富士山は木花咲耶姫(このはなさくやひめ)と同一視され、その麓の富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)は全国の浅間信仰の中核的存在になっています。

一方、容貌を理由に離縁されてしまった石長姫(いわながひめ)は山の奥に籠もって山の神(やまのかみ)になったとされます。そこから、山の神は自分より美人の女性を見ると嫉妬するので、山に女性を入れてはいけないという女人禁制思想へとつながっています。なお、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の富士山に対して、浅間山が石長姫(いわながひめ)の本拠地であるともされます。

また、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の妹に木花知流比売(このはなちるひめ)(木花散姫)もいます。この神は大国主神(おおくにぬしのかみ)の祖先にあたります。しかし木花知流比売(このはなちるひめ)木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の別の面と見る説(花は咲けば散る)もあります。また木花咲耶姫(このはなさくやひめ)石長姫(いわながひめ)も実はひとりの神の姿であるという説もあります(着飾りお化粧した姿と普段着の素顔)。



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