言葉の整理

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■言葉の整理
このあたりで、一度関係する言葉の整理をおこなっておいた方がよいであろう。

ニューハーフ もっとも無難にこの傾向の人たちを指すことばである。女装者から性転換者までの範囲を含む。映画「蔵の中」(1981)に主演した「六本木美人」松原留美子を指して生まれたことば。しかし最近はどちらかというと職業として女装している人の意味で使用されることが多くなってきている。
ミスターレディ 意味は上記ニューハーフとほぼ同じ。映画「ミスターレディ・ミスターマダム」を機に生まれたもので、TV番組「笑っていいとも」の「ミスターレディの輪」(1988-1989)のコーナーにより、社会的に認知された。
シーメール sheとmaleの合成語で、両性ボディの持ち主を言う。基本的には男性機能を保ったまま、乳房を大きくし、女性のボディラインを持つ人のこと。
プラトェーアン タイの言葉で「改良した人」という意味。つまり性転換手術を受けて女性になった人で多くはショーダンサーやホステスなど。タイは男性→女性の性転換手術を行う病院がひじょうに多く、日本やアメリカからも手術を受けに行く人がたくさんいる。
ゲイボーイ 日本では「ゲイバー」や「ショーパブ」において女装で客を接待する人のこと。アメリカでは女装しないゲイボーイも多い。
ゲイ 日本では男性同性愛者のこと。アメリカでは男女限らず同性愛者を指す。なお、日本のゲイボーイは多くは女装者であり、同性愛者ではない。初期の頃の誤解と混乱が、こういう紛らわしい言葉を生み出した。
ゲイバー ゲイボーイが常駐する酒場であるが、単にいるだけのところから、ショーやレビューがおこなわれる「ショーパブ」まで、いろいろな形態がある。日本の場合は基本的に客に対して肉体的なサービスはおこなわない。
ブルーボーイ 性転換して女性となったショーダンサーのこと。パリのカルーゼル・ショー劇の来日(1963)の際に生まれたことばだが、1980年代頃を最後に聞かなくなった。現在では死語。
シスターボーイ 女性的な男性。別に同性愛や女装とは無関係に、女の子のようにきゃしゃな雰囲気のある若い男性を指す言葉。丸山明宏(現三輪明宏)のために生まれた言葉。現在では死語。
ホモ 同性愛者。日本では特に男性同性愛者をいい、女性の同性愛者はレスビアンと言い分ける。反対語は「ヘテロ」(異性愛)。但し近年は差別的にこの言葉が使用されており、基本的には使用しない方が良い。
おかま 本来は男性同性愛者のことであったが、現在ではむしろ女装者の蔑称として使用されている。基本的にはこの言葉は使用しない方がよい。
陰間(かげま) 江戸時代の言葉で女装で売春宿に務めていた人。客は男性・女性の両方があったといい、現在のニューハーフ・ヘルスのような雰囲気であったらしい。
おなべ 「おかま」に対して造られた俗語で、男装して「おなべバー」に務めている女性。
おこげ 「おかま」にくっつく、という意味で、女装者のファンもしくは女装者と愛し合っている、一般女性(別にレスビアンではない)。
レスビアン 女性の同性愛者のこと。地中海のレスボス島で詩人のサッフォーたちが女性たちだけの楽園を作っていたという伝説から、レスボス島の人達ということでレスビアンという単語が生まれた。
レズ レスビアンの略だが、最近は差別的に使われることが多く、日本では基本的に「ホモ」と同様、使用しない方がよい。
ビアン レスビアンの略。レズという言葉が差別的に使われることが多いため、実際のレスビアンの人たちが自分たちのアイデンティティを表す言葉として使用し始めた。
工事中 将来性転換手術を受けるつもりで、とりあえず睾丸だけ除去している人のこと。睾丸は除去しておいても性転換手術には影響がなく、睾丸の除去によって男性ホルモンの量が低下するとともに肉体の男性化を止められるので、性転換を目指す10代の男性は先行して睾丸を除去する場合も多い。但し睾丸の除去後、3年程度以内に正規の性転換手術を受けなければ、残された陰茎が萎縮してしまい、手術に支障があるという説もある。
クロスドレッシング 異性装。つまり男装・女装。この言葉は習慣的に異性装する人のことだけでなく、ファッションや趣味として異性の服を身につける場合まで含むものと思われる。
トランスヴェスタイト(TV) 異性装志向。心理的に異性の服を身につけることにより心の安定を得られる傾向の人を言い、多くの場合、習慣的に異性装している。以前は「服装倒錯」と訳されたが、「倒錯」という言い方はひどい。なお、現在ではこの言葉は使用を控えた方がよいとされる。多くの場合は上記の「クロスドレッシング」に言い換えることができる。
トランスジェンダー(TG) 社会的異性志向。社会生活において異性として生活したいと考えている人、あるいは実際に生活している人。
トランスセクシュアル(TS) 性逆転志向。肉体的に反対の性でありたいと強く願っている人をいい、性転換手術を受けたいと願っている人、準備をしている人、既に受けた人も含む。特に準備中の人をpre-op(pre-operation)といい、既に手術を終えた人をpost-op(post-operation)という。通常「性転換志向」と訳されるが、トランスセクシュアルであっても、必ずしも性転換手術を望んでいるとは限らないので「志向」という表現は必ずしも正しくない。
T’s トランスヴェスタイト、トランスジェンダー、トランスセクシュアルをまとめて言う。
メンズスカート 広義には男性がスカートを穿くことであるが、一般的に「メンズスカート」という場合は、女装としてのスカートや、コスプレで穿く場合、ロックミュージシャンなどの表現としてスカートを穿く場合、ファッションショーなどで見かけるデザイン上の表現としての男性用スカート、などをのぞく、あくまで通常の服としてスカートを穿く行為をいう。ただこの言葉は人によってかなり意味する所が違う場合もある。
メンズブラ 男性がブラジャーを付けること。女装として付けるのでなくても、適度の締め付け感が快適であるとして付ける男性が近年増えているといわれている。同様の理由で女性用のパンティストッキングを愛用する男性は、昔からかなり多い。
パス 異性装者が日常生活において、実は逆の性の持ち主であると、ほとんど気づかれない状態のこと。「どこから見ても女にしか見えない」女装者および「どう見たって男にしか見えない」男装者のこと。逆にバレてしまう状態をリードという。
性別 近年、社会生活上の性のことを肉体的な性とは分けて考える考え方が有力となってきている。肉体的な属性を性(sex)といい、社会的な状況を性別(gender)という。
性別不快症候群 同性愛や日常的異性装をしている人などを含め、自分の生まれながらの「性別(gender)」に何らかの不快感を持つこと。女性の場合は大半が少女時代に経験しているが男性の場合は比率が少なく、逆にそれが悩みとなって深刻化するケースも。
性同一性障害(GID) 自分の性自認に病的なほどの障害が出ているケースで、かつては精神医学的な治療が試みられたこともあるが、現在では多くは性転換手術のみがその人を救う道と考えられている。
性再設定手術(SRS) かつては性転換手術(sex change surgery)と言っていたし、その通称は現在でも十分通用しているが、医学的には性再設定手術(sex reassignment surgery)という言葉が使用されるようになっている。
リアルライフテスト(RLT) 性転換手術を希望する人の中には、稀にそちらの性にきちんと適応できない人がいることが知られており、たとえば男性→女性の性転換手術をしたあとで、やっぱり男の方が良かったなどといっても、まさに後の祭り。そこで近年の正規医療においては、手術の前に1〜2年移行したい先の性できちんと生活していることが条件とされており、これをリアルライフテストという。なおリアルライフテストにその性でパスしていることは必要ない。


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