トータルコスト

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経営者でも個人でも、しばしばトータルコストというものが分かっていない人があります。

「これはお金が掛かっているからやめよう」といって、何かをやめた結果、他の所でもっと費用がかかったり、また売上を落とすことになったりするのです。

費用というのは常に総合的な視点で考えるべきものです。

ある主婦は、おやつを買うのはお金が掛かると考え、おやつを買うのをやめて、手作りすることにしました。それで毎日せっせと手作りのおやつを作りました。

彼女は1ヶ月後、衝撃を受けます。

それは電気代が凄まじく高くなっていたのです。

毎日おやつ作りのためにオーブンを使用していたので、その電気代が凄まじく高くなっていたのです。

結局彼女は“おやつ購入費”は節約できたものの、電気代(+材料費)がその数倍かかってしまったのです。

この手の失敗は、わりとありがちです。

日本の高度成長期に企業で盛んだった QC活動は、ボトムアップの視線で行われていたため、その部門にとっては改良たったかも知れないが、全社的に見るとマイナスになるというものも多かったです。

少し極端な話をしましょう。

例えば経営者が「従業員に給料を払いすぎだから安くしよう」と思って賃金を下げたとします。すると確かに賃金に関する支出は減るかも知れませんが、それによって従業員が不満を持ちあるいは意欲を失って、労働効率を下げたり、また優秀な社員が辞めて他の会社に移るかも知れません。賃金を下げることは、しばしば大きなマイナス効果を出します。

その企業が何かのテレビ番組のスポンサーになっていたのをスポンサー料が高いからとやめたとします。それで結果的にその番組が打ち切りになったとします。すると、その番組のファンからは「やめちゃうなんて」と反感を持たれます。更には「スポンサーを降りるなんて、あの会社は景気が悪いのでは」と思われ、他の会社はその会社との取引に慎重になるでしょう。スポンサー料を1億円カットしたとしても、それによって悪化して企業イメージからくる打撃は数十億円規模になる可能性があります。結局全然得になりません。

他にも「社用車はお金がかかる。全員電車か自転車で移動しろ」なんてことなしたら、従業員が移動するのに物凄く時間がかかり、労働効率を著しく落とします。更には、取引先の企業から、あそこはよほど景気が悪いのだろうと思われ、イメージの悪化は底が知れません。

実話ですが、ある大手ファミレスで、苦労してその会社を育て上げた創業者が引退して、息子が新しい社長になりました。彼が最初にやったことは何だったか?

おしぼりの廃止でした。

帳簿を見ていて彼は、布おしぼりの洗濯に凄まじい費用が掛かっていることに気づき「もったいないからやめろ」と言ってやめさせました。顧客から多くの不満の声があがり、結果的に売上を落とすことになります。この2代目は他にも色々問題のある指示を出して社内を混乱させました。結果的に売上も落ちたことで解任され、先代社長が返り咲くことになります。

創業者である父は、このおしぼり問題に関してすぐ動きました。以前使用していた布のおしぼりに代えて、使い捨ての不織布のおしぼりを導入したのです。これなら廃棄物が増えるという問題はありますが、洗濯代はかかりませんし、新しい世代の人たちには、洗って再利用する布おしぼりより、使い捨ての方が衛生的と思われるという計算をしたのです。この改革、およびそれ以外にも色々行った改革により、レストランには客が戻ってきてくれました。

(2020-03-17)

Dropped down from daily DANCE.

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