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安部公房(1924-1993)

「赤い繭」「棒になった男」などの作品で知られる作家・安部公房(あべ・こうぼう)は1924年3月7日、東京府北豊島郡滝野川町(現北区)で生まれました。本名は同じ字ですが「きみふさ」と読みます。

満州で育ち、中学卒業後いったん東京に出てきて帝大医学部に入りますが、終戦前にわざわざ満州に戻り父の許へ。しかし父は病気のため死去。一家は昭和21年に運良く帰国して、北海道の祖父のもとに身を寄せました。

その後東京大学に復学、1947年に女子美術専門学校生・山田真知子と結婚、このころから小説を書き始めました。

彼は作品を高校時代の恩師に見せ、その恩師が埴谷雄高を紹介、ここから本格的な文学活動が始まります。

1950年、代表作ともいえる、赤い繭・洪水・魔法のチョークの3部作を発表。これで戦後文学賞を受賞して、新人作家として大きく評価されました。その後も彼の作品は常に注目され続けました。

 1951年 壁(芥川賞受賞)1954年 飢餓同盟1957年 けものたちは故郷をめざす1959年 第四間氷期1962年 砂の女1967年 人間そっくり1969年 棒になった男1973年 箱男

「赤い繭」は高校の教科書で読んだ方も多いのではないかと思いますが、この一編だけを読んでも、この作品の意味はさっぱり分からないかも知れません。これは魔法のチョーク、洪水、そして完結編ともいうべき事業までを読んではじめて、安部公房の「警告」が理解できます。

魔法のチョーク 男が魔法のチョークを手に入れる。彼が夜、壁にそれで描いたものは全て現実になるのだ。しかし朝になると全て絵に戻ってしまう。男はやがて、魔法のチョークが描いたものが元に戻らないよう、カーテンを閉め切り目張りをして、昼間も一切光が入ってこないようにした。そして、ある日彼は壁にチョークで女の絵を描いてしまう。

洪水 いたるところで洪水が発生していた。その洪水は人間が突然変身して洪水となるものである。その発生については全く予測が不可能であった。

赤い繭 男は自分が誰か分からなかった。またどこに住んでいたかも分からなかった。そこで男は家々をかたっぱしから訪問しては、自分を知らないか? そして自分はひょっとしてこの家の住人ではないか?と聞いて回っていた。すると、みんな男を気味悪がって追い返した。

事業 男は食糧問題を解決するために、増えやすいネズミを大量飼育することを考えた。ネズミは大きいほうがたくさん肉が取れるので、ネズミが大型化するように改良した。ところがある日、ネズミが檻を食いちぎって外に飛び出し、男の妻を食い殺してしまった。妻の死体を目の前にした男はあることを思いつく。

ここまで書けば察しのいい人は結末まで全て想像できてしまうと思いますが、一応ここまでで、後は実際の作品を読んでもらうということで。

一度読んだら、敏感な人は一週間くらい悪夢にうなされる、すごい作品です。安部公房の初期のものすごいパワーがここに込められています。


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