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源泉徴収制度開始(1940)

給与所得者の源泉徴収制度は昭和15年度(1940)から開始されました。

この制度は要するに「確実に税金を徴収するための」ものですが、日本人の民主主義意識の育成には極めてマイナスであるとかねてより指摘されています。

あなたは昨年自分がいくら税金を払ったか知っていますか?

確定申告をなさった方は、つい先日、税額を計算して申告書に書いたと思いますので分かりますね。しかし源泉徴収されていて、払いすぎた税金も年末調整で返ってきただけの人は全然知らないかも知れません。

例えば年収が600万円のサラリーマンの場合、手取額は約500万円と思われますので、その全額を消費したとすれば年間約25万円の消費税を払っているわけです。しかし所得税率は消費税率の5%の倍の10%もあります。実際には各種の控除がなされた後で税率がかかりますから、年収600万円なら給与所得控除174万円,社会保険料を約50万円、それに配偶者控除と配偶者特別控除があれば合計76万円として課税対象額は約300万円。その10%で年間30万円の所得税を払っていることになります。(非常に大雑把な計算です)

多分年収500〜700万円の層を境にして、それより年収が大きい人は所得税が多く、それより少ない人は消費税が多くなるはずです。

自分が何十万円もの税金を払っているという意識があれば、その税金から給料をもらっている政治家や官僚が何をしているかということに無関心でいられるはずがありません。これはこのように金額を聞くだけではあまり意識にのぼりませんが、自分で税額を計算して「決める」という作業をすれば、いやでもしっかり意識することになります。

自分で計算した場合、その算出結果に「もう少し安くならないかな」と絶対考えるものですし、ごまかしにならない程度の解釈の変更で税金をやっと1万円安くした!と思った直後に、議員が公費で研修に名を借りた海外旅行をしていた、などという新聞記事を見たら絶対怒ります。

国民がこういうことで本当に怒るようになり、それに応じて官僚や政治家が身を引き締めて無駄な支出をしないようになれば、その方が国全体の経済状態はぐっと改善されるはずです。

所得税が創設されたのは明治20年。この時期は日本銀行が設立されたりして日本の近代財政が確立していった時期で、地租の改正などとも合わせて多くの税制改正の一環として行われたものです。この時の所得税の対象者は全国でわずか12万人であり、これは高額所得者を対象としたいわば富裕税のようなものでした。しかも最高税率はわずか3%です。

しかしその後日本は日清戦争では賠償金を取ったものの日露戦争ではそれが取れず、財政はどんどん悪化していきます。更には昭和に入ると中国での戦争により戦果があがらないまま多額の経費がかかっていきます。そのため所得税の対象者はどんどん拡大し税率も上がっていって、ついに昭和15年、戦費調達のため、国民から広く税金を徴収するためにこの制度が導入されました。

この時の対象者は全国で400万人。つまり中堅以上のサラリーマンから給料天引きで税金を取ることになった訳です。この対象者は戦争末期の昭和19年には1200万人を越えており、これは務め始めてすぐの新人以外はほとんど税金を取られる状態になったと考えられます。

この税額の計算はこの時期までは税務署が行っていましたが、戦争が終わって昭和22年、申告納税方式に切り替わります。これは本来このまま実施されていれば、自分の税額を自分で計算するのですから、民主主義意識の育成には、とてもいいものであったはずですが、大蔵省はこの制度と同時に年末調整の制度を導入。大半の給与所得者は税額を会社が代行して計算するというものになってしまいました。

昭和24年に日本の税制を調査し数々の勧告をおこなったシャウプ博士もこの年末調整は全面的に批判し、すみやかに廃止すべきであると言っていますが、全く改められていません。大蔵省としては、各自が自分で申告することにより、税金のごまかしが増えて税収不足になることを恐れたのです。

現在年末調整だけで済んでしまい、確定申告もしていない人は、正確な統計の数字が取れなかったのですが3500万人ほどいるとおもわれます。しかし、これらの人の中には自分でちゃんと計算して申告すれば恐らく1〜2割程度は税金が安く済む人がかなりあるのではないかと思われます。(必要経費の解釈を適正にした場合。現在のように必要経費の解釈が厳しすぎる状態では高くなる人のほうがずっと多い)

現在でもたとえば職務に必要な資格をとるための研修費用や、単身赴任者の帰宅旅費などは(合計額が給与所得控除額を上回れば)必要経費として申告することができます。しかし本来は会社で着るために買っているスーツや靴の類、女性の最低限の化粧品の費用なども当然必要経費で落としてよいはずです(これは普通の自営業者でも認められていない。衣服が必要経費で認められるのは芸能人のステージ衣装くらい。つまり普段の生活に転用不能なものだから)。また携帯電話やパソコンの経費も、仕事に半分くらい使っていれば、半額は必要経費に算入してよいはずです。そういうものを必要経費として認めない代わりに、自営業者には羨ましいくらいの額の給与所得控除があるわけですが.....

もちろん税額の計算はたいへんな作業でもあります。アメリカでは税金計算のために表計算ソフトが一般に普及したという事情があります。日本でも今年から電子納税申告のシステムが試験運転されはじめましたが、20年後くらいまでには、ソフトで計算→電子申告が普通になり、給与所得者も必要経費の実額控除がもっと自由に選択できるようになり、そちらを選択する人が増えてくるかも知れません。


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