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カラーテレビ本放送開始(1960)

昭和35年(1960)9月10日、カラーテレビの本放送が開始されました。

テレビ放送技術は戦前から研究が進められていましたが、戦後一時中断。その後再開されて1953年にNHKと日本テレビが本放送を開始しますが、当時はもちろんモノクロでした。

カラーテレビというのは原理的にはモノクロのテレビに比べて特に難しいことをする訳ではありません。カラーのフィルタを掛けて3原色に分解し、それぞれを光電素子によって電気に変換、これをブラウン管では3原色に対応するビームを撃って再現します。この時普通は3本のガンを使いますが1本のガンで済ませることにより色ズレを防止するのがトリニトロンです。

(正確に言うと電波上は変換して2要素になっている....これはアナログ放送の宿命的な画質の悪さとなる)

しかしカラー放送を始めるにあたっては、ひとつ重要な問題がありました。

第一にカラー放送ができるようになったといっても費用的な問題からすぐに全ての番組をカラーカメラで撮影して放送できる体勢にはなかった。

第二にまだモノクロのテレビでさえ、放送が始まって7年。受像器はそんなに普及している訳ではなく、しかも結構高価なものであった。(さらに前年の1959年に皇太子ご成婚の放送を見るため無理して買った人が多数いた)。カラー放送になったら、その受像器では放送が受信できないというのは困る。

そこで、カラー放送の実際の開始に当たっては、次の2点を死守するべく、技術開発が進められたのです。

 ・カラーテレビでも白黒の放送が受信できる。(むろん白黒で映る)・白黒テレビでもカラーの放送が受信できる。(むろん白黒で映る)

これは白黒放送とカラー放送の相互互換性と呼ばれます。実現しているので誰も不思議に思っていませんが、これはたいへんなことで、仮にこれがどちらもできていなかったとしたらどうか、考えてみると不便さが分かります。

もしカラー放送が従来の白黒放送の規格と全く違う規格で放送され、白黒テレビとカラーテレビを2台並べておかなければならないということだったら、カラー放送の事業は間違いなく挫折していたことでしょう。

当時はカラー放送には画面の隅に「カラー」という文字が入っており新聞にもそういう表示が付いていました。また初期のカラーテレビには、カラーで見るのが嫌な人の為に?カラーと白黒の切替ボタンというのが付いていました。(むろん白黒放送の時にこのボタンを操作してもカラーにはなりません)

カラーテレビは1964年の東京オリンピックを契機に普及しはじめますが、当初はやはり白黒テレビに比べてかなり高価であるため、裕福な家庭に限られた普及でした。日本国内のほとんどの家庭のテレビがカラー化されるのは、だいたい1975年前後と思われます。そしてそのころには放送の方も全てカラー化されます。(1971年にNHK総合のカラー化が完了しています。教育テレビの方はもう少し後まで白黒放送が残っていたと思うのですが、いつ全てカラーになったかは年代が確認できませんでした)

私が最後に白黒テレビの映像を見たのは1981年の3月でした。親戚の家で見たものですが、その家の住人は「そのうち博物館から譲ってくれと言ってくるかも知れないから取ってるんだ」と冗談か本気か区別のつかないことを言っておりました。そこでちょうど相撲の放送があっていたのですが、当時は勝負が色分けで表示される方式に変わっていたため、その放送を見ていても、どちらが勝った力士なのか、さっぱり分かりませんでした。


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