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もんじゅ試運転開始(1991)

1991年5月18日、福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」が完成。試運転が開始されました。

一般に「もんじゅ」と新型転換炉「ふげん」は混同されていますが、この2つの役割は全く違います。

「ふげん」で使用されている技術は既に時代遅れになりつつあります。こちらは廃止すべきです。これに対して「もんじゅ」は太陽エネルギーの効率的な利用ができるまでの間のつなぎとして、どうしても必要な技術を試験しています。これはできれば「しっかりした安全対策を取って」実用化に向けて努力して欲しいものです。

日本の原発は昔から「事故を隠して」はただ「安全だ安全だ」と言い続けて来た体質があります。原子力発電をことさらタブー視するのもアメリカの核独占志向の尻馬に乗るようで面白くありませんが、原子力発電が本来危険なものであることを認識した上で安全対策を施すのも必要なことでしょう。

一部の仏教者から原子炉の名前に普賢とか文殊といった仏様の名前を使うな、という声があります。この名前を付けたのは動燃(動力炉核燃料開発事業団)の理事長も務めた清成迪氏ですが、氏は仏教者で、この凶暴な原子の火を、普賢菩薩や文殊菩薩の知恵を借りて、なんとか制御したいという願いを込めてこの名前を付けました。その理念が必ずしも守られていないように思います。

原子炉の原理はウランやプルトニウムが核分裂を起こした時の熱を取り出して水蒸気を発生させタービンを回して発電するものです。この時核分裂を続行させる為には核分裂した時に飛び出した中性子の速度を落とした上で他のウランやプルトニウムの原子にぶつける必要があるため、速度を落とすための減速材というものが使用されます。

この減速材の材料によって、原子炉は黒鉛炉・軽水炉・重水炉に分類され、軽水炉は構造によって加圧水型と沸騰水型に分類されます。

黒鉛炉は初期に開発されたものですが、現在はもう国内では使用されていません。軽水炉はアメリカが強く日本に売り込んで来たもので日本の原子炉のほとんどを占めます。九州電力と四国電力が加圧水型、その他が沸騰水型を使用しています。

沸騰水型は単純な構造で、減速材として使った水そのものを蒸気に変えタービンを回します。これに対して加圧水型は減速材として使った水は単に熱を持たせるだけで、それに隣接させた蒸気発生器の水が蒸発したものでタービンを回します。当然加圧水型の方が安全度が高いようですが、複雑になる分だけ事故発生率も高くなるという面もあります。

軽水炉の欠点は減速材として使用した水が中性子を吸収してしまうことで、このためどうしても効率の悪い原子炉になってしまいます。この普通の水の代わりに重水(原子核の重さが通常の水素の倍ある重水素でできた水)を使うとそれを回避することができ、結果的に軽水炉より燃えにくい核燃料でも燃やすことができます。この系列に所属するものが「ふげん」で新型転換炉と呼ばれています。しかし新型転換炉はあくまで過渡的な技術であり、次に述べる高速増殖炉が実用域に達するまでのつなぎに過ぎません。

「もんじゅ」は原子力発電のたどりつくべき姿とされる「高速増殖炉」で、ウラン235やプルトニウムを燃やした結果、核燃料の中に含まれるウラン238が中性子を吸収してプルトニウムに変わり、結果的に燃やした燃料よりも多くの量のプルトニウムが得られるという「夢の原子炉」です。戦後間もない頃から各国で研究されており、その実験炉の「常陽」はもう20年間も運転を続けていますが商業レベルで使える炉として初めて作られた「もんじゅ」はごらんの通り、運用開始後わずか4ヶ月で大きな事故を起こしてしまいました。

やはり、私はここ30年ほど日本の原子力開発を独占的に担当してきた動燃の体質に問題があるとしか思えません。ほんとうに原子力の危険性を分かった上で技術開発を進めているのでしょうか。あまりにお粗末な事故が多すぎます。あまりの問題の多さに動燃は解体されて、核燃料サイクル開発機構に衣替えしました。本当に体質が改善されたのか、私たちは注意深く見守っていく必要があるでしょう。

「原子力発電所が本当に安全だというのなら皇居の隣に作ったらどうだ」という議論がありますが、私は皇居の中に作ってもいいくらいの安全対策を取るべきだと思います。それとともに少しでも早く次世代のエネルギー源のための技術開発研究を進めるべきでしょう。


(1999-05-17)

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