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「運命」初演(1808)

1808年12月22日、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」がウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて、交響曲第6番「田園」とともに初演されました。

ルードウィッヒ・ファン・ベートーヴェンは生涯に9つの交響曲を書いています。1800 第1番       1808 第6番・田園1802 第2番       1812 第7番1804 第3番・英雄    1812 第8番1806 第4番       1824 第9番(合唱付き)1808 第5番・運命   ---- 第10番−構想のみで未完

耳の障害が始まったのが1796年、1800年頃にはもうほとんど聞こえなくなっていたといいます。ハイリゲンシュタットの遺書が1802年です。しかし有名なピアノソナタ月光なども1801年の作ですから、彼の代表作のほとんどは、実に耳が聞こえなくなってしまってから生まれたことになります。

「運命」の名前は彼が弟子のシントラーに「運命はかくの如く扉を叩く」と語ったというエピソードに由来します。おそらくはベートーヴェンの作品の中でもっとも有名な作品であり、クラシックに親しみのない人でも、この「ジャジャジャジャーン」(ミミミドー)という冒頭のテーマだけは知っているでしょう。

もっとも、今の時期、日本全国で流れているベートーヴェンの曲は第九です。

多くのクラシックオーケストラと合唱団がこの時期の公演でこれを演奏しますし、「第九を歌う市民の集い」のようなものも、あちこちで開催されます。

とめどもなく暗い第五に比べて、第九は心の奥底を揺り動かされ、どんなに落ち込んでいる人でも勇気が湧いてくるような、ほんとに不思議な曲です。「ミミファソ・ソファミレ・ドドレミ・ミーレレ」というドレミファソの5音しか使っていない単純なメロディーが、また日本人の心情にマッチしているのでしょう。

私がベートーヴェンの曲で最初に覚えたのは実は田園です。私は大学生の頃まではクラシック音痴で、実際ベートーヴェンとチャイコフスキーの区別も付いていなかったのですが、最初になんとなくFMの番組でエアチェックしたのが、田園でした。そのテープはテープがダメになるまで繰り返し聞いていました。ほんとうにのどかな、美しい曲です。(ダメになった所でなにか代わりにと思って最初に買ったクラシックのCDはホルストの惑星)

英雄は最初「ボナパルト」というタイトルだったのですが、彼が革命の指導者としてあこがれていたナポレオンが皇帝になったというニュースを聞いたとき、彼は初めてナポレオンが俗物であったことに気づき、怒りで表紙を破り捨てたというエピソードは有名。一部のベートーヴェンの伝記では楽譜を破り捨てたと書かれていることがありますが、さすがのベートーヴェンもそこまでは熱くならなかったのでしょう。

さて、運命はハムレットの苦悩でも思わせるような重い曲です。実際、このウィーンでの初演を聞いた聴衆の反応もいまいちだった模様。分かりにくい曲ではあります。しかしこの第五と晩年の第九を聞き比べたとき、やはり私はそこにベートーヴェンなりの、心の中の葛藤の解決のようなものを感じとってしまいます。


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