心への旅(2)権威主義と固定観念

←↑→

権威主義(authoritarianism)という性格特性が知られています。私の恩師の一人
である浜田哲郎氏がその研究者でしたので、色々と面白い話を聞かせてもらった
のですが、この権威主義に囚われている人は次のような心理的行動を見せます。

 ・より高い権威に盲目的に服従する。(「長」の付く人に弱い)
 ・物事の白黒をはっきりさせようとする。(敵か味方か?など)
 ・融通の効かない規則に頼ろうとする。
 ・自己の集団に属さない人に対して敵意を示す。

このような要素は誰の心にも多少は宿っているのでしょうが、こういった要素が
あまり強く現れると人間の社会的な発展を疎外すると考えられます。大きな集団
の中間管理者にはこういう傾向の強い人がよく見られますが、指導者とか経営者
には向かない性格といえましょう。

思考には知識的思考と創造的思考があるという考え方があります。(こういった
二分的思考も権威主義ですが)そして知識的思考は収束的(convergent)であるが
創造的思考は拡散的(divergent)であるという考え方があるようです。権威主義
はいわば収束的思考に捉えられてしまった状態とも考えることができます。

権威主義的な思考は色々な固定観念を導きます。

一般に「偏見」と呼ばれるものは心理学的には判断できる十分な根拠がないにも
関わらず、ひとつの答えを無理に出してしまっている状態と説明されます。

それがひとつの集団に適用されてしまったものが「ステレオタイプ」です。例え
ば、ある人がある日近くに住んでいるアメリカ人が道に落ちていた十円玉を拾う
のを見て、いきなり「アメリカ人は意地汚い」などと、勝手な解釈を広い対象に
拡大してしまうようなものがこれでしょう。

また「光背効果」というものも知られています。これは身だしなみのきれいな人
を見て「この人は真面目な人のようだ」などと無関係な事に関する判断を下して
しまうようなものを言います。

占い師やセラピストは、クライアントを受け入れるにあたって、このような各種
の権威主義的思考から自らを解放する必要があります。クライアントを自分の心
に正確に受け入れることができなければ、解決を導くことは難しくなります。

女子中学生が男友達との性関係の悩みを相談しに来たとき、「中学生がセックス
するとはけしからん」などと怒ってしまっては、まさに「話になりません」し、
服装が乱れていた場合に「こいつは遊び人かな?」などと即断していては正しい
占いを実行することはできないでしょう。

人の相談を受けるという行為は、原理的に自らの心の成長にも関わることでもあ
り、外見に捕らわれずに相手の内面を見通す心の目を鍛えることを要求されます。
←↑→


(C)copyright ffortune.net 1995-2016 produced by ffortune and Lumi.
お問い合わせはこちらから