↑ プラセボ
プラセボは一般に「擬薬」などと訳されています。薬学的には効くはずの
ない薬で病気が治ってしまうものです。

歴史的にみるとプラセボは元々、放っておけば自然に治るのは明かなのに、
やたると薬をほしがる困った患者に処方するために生まれたとも言われてい
ます。「プラセボ(placebo)」とは「喜ばせるであろう」という意味で、こう
いう薬をもらった患者は喜んでそれを飲み、あっという間に病気が治るので
「あの先生のとこの薬はよく効くなぁ」と、ますますその先生のファンにな
るという訳です。こういう状態になるとプラセボは更に効果が高くなります。

あるところで実験をしたことがあります。同じプラセボをAグループにはそ
の病院の偉い先生が「これは最近開発された非常に効き目の高い薬なんです」
と言って患者に薬を渡す。Bグループには見習い看護婦に「なんか良く分か
らないんですけどね、新しい薬が出来たらしいので」と言って患者に薬を渡す。

するとAグループではそのプラセボが7割の人に効き、Bグループでは2割
の人にしか効かなかったということ。

しかしこのBグループのようないい加減な渡し方をしても2割はプラセボが
効いたというのがすごい。

そこで現在では新しい薬が開発されて、その効果を確認するための臨床実験
においては、同じ条件の2グループに片方は新薬を渡し、片方にはプラセボ
を渡すということが行われています。この場合いわゆる「二重秘匿方式」を
使用します。つまり患者にプラセボであることを言わないのは当然として、
渡す側の医師にもプラセボであることを知られないようにしておきます。そ
うしないと、医師が薬を渡すとき「こんな薬渡して申し訳ない」という気持
ちが出るため、患者に不安を与える可能性があるからです。

プラセボの効果はプラセボだけで起きている訳ではありません。本物の薬の
効果の中にもプラセボ効果は含まれていると言われています。

たとえばある所で実験が行われたのでは、確実に薬効があるとされている薬
について、改めて同じ条件のグループにその薬とプラセボを投与したところ、
その薬の効果があった人が7割、プラセボでも効いた人が3割あったらしい。

ということは、そもそもこの薬の効果の半分はプラセボ効果である、という
計算になります。

プラセボで病気が治ってしまうメカニズムについては、まだ未解明の部分も
多いようですが「この薬を飲めば直るんだ」という期待感が体内の免疫機構
を活性化させ(戦争で「明日援軍が到着するぞ」と言われたら兵が張り切る
ようなもの)、またいわゆる脳内麻薬物質のようなものも分泌されて痛みが
軽減される。

すると、実際に体調が少し改善されるので「あ、薬が効いてきた」と本人が
思いこみ、更に免疫機能が活性化されて、それだけで済むような病気では、
きれいに直ってしまう。

ですから、敏感な人ではプラセボ効果は実際に薬を処方されなくても、医師
の診察を受けただけとか、どうかすると病院の玄関を入っただけで、よくな
ってしまう人もあるそうです。

また原因の分からない症状で検査のために患部を手術室で切開し、中を見て
も異常の原因が分からず、仕方なくそのまま何もしないで閉じてしまった場
合に、手術をしてもらったという安心感から、直ってしまう患者もあるとの
ことです。これも一種のプラセボ効果。

こうして見てみるとプラセボを「マガイモノの薬」などと捉えるのは一種の
偏見であり、むしろ「人間の自然治癒能力を高める手段」と考えた方がいい
のかも知れません。

病院で医者から見放された人が、アイヌのベテランのフチの治療を受けたら
1年で完治してしまったなどという話があるのも、現代の医療現場で、この
人間の自然治癒能力をあまりにも軽視しているためかも知れません。

(もっとも民間で「どんなガンでも直します」などといった広告している人
 の99%は、プラセボ未満の単なるインチキです。ひっかからないように)
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 1%は確かに本物がいるんですよね。そういう人に会える率は低いけど。



↑ Dropped down from daily DANCE.

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