↑ 僧の尊称について
さて、昔のお坊さんの名前には大師とか上人とか聖人とか付いている人が
たくさんいますが、一般の方にはどれが何なのか、どう偉いのか、などさっ
ぱり分からないのではないかと思います。それをここで簡単に整理してみます。

大師

これは朝廷が特に偉大であった僧に死後送った諡号です。これを贈られた人は
当然少数で、下記の25人しかいません。

 伝教大師  767- 822 最澄。天台宗開祖。比叡山延暦寺を開く。
 弘法大師  774- 835 空海。遍照金剛。嵯峨天皇の信任。真言宗開祖。高野山。東寺。三筆。
 道興大師  786- 847 実慧。空海の高弟で東寺二代長者。東寺の堂宇建立で稲荷と関係?
 慈覚大師  794- 864 円仁。日本の天台宗の教義を大成。恐山など東北に多くの霊場を作る。
 法光大師  801- 879 真雅。空海の高弟。師より東大寺真言院を託される。
 智証大師  814- 891 円珍。天台宗寺門派開祖。母は空海の姪。讃岐の人。
 本覚大師  827- 906 益信。東寺長者。広沢流の祖。宇多天皇の信。
 理源大師  832- 909 聖宝。東寺長者。真言修験道中興の祖。真言宗小野流の祖。
 慈慧大師  912- 985 良源。角大師。元三大師。天台宗中興の祖。
 聖応大師 1072-1132 良忍。融通念仏宗の祖。浄土系諸宗のルーツになる。
 興教大師 1095-1143 覚鑁(かくばん)。真言密教中興の祖。錐鑚不動の伝説で有名。
 円光大師 1133-1212 法然。源空,明照大師,黒谷上人,吉水上人。浄土宗開祖。土佐配流。
 月輪大師 1166-1227 俊仍(しゅんじょう)。歴代天皇の菩提寺泉涌寺の開基。
 見真大師 1173-1262 親鸞。浄土真宗開祖。越後に流された後関東で布教。
 承陽大師 1200-1253 道元。曹洞宗開祖。永平寺を開き、正法眼蔵を著。
 立正大師 1222-1282 日蓮。日蓮宗開祖。立正安国論を著。伊豆・佐渡配流の受難。
 円照大師 1239-1289 一遍。遊行上人、捨聖とも。時宗開祖。踊り念仏。
 常済大師 1268-1325 瑩山(けいざん)。曹洞宗高祖。総持寺を開き曹洞宗を普及させる。
 無相大師 1277-1360 関山慧玄(かんざんえげん)。妙心寺の開基。
 微妙大師 1296-1380 宗弼。俗名万里小路(藤原)藤房。建武の中興で後醍醐天皇を支える。妙心寺2世。
 円明大師 1323-1390 無文元選。後醍醐天皇の皇子。中国に留学。遠江の方広寺を開く。
 慧灯大師 1415-1499 蓮如。本願寺第8世。浄土真宗中興の祖。正信念仏偈などをまとめる。
 慈摂大師 1443-1495 真盛。天台真盛宗の祖。念仏を重視して主に近畿地方で布教。
 慈眼大師 1536-1643 天海。随風。徳川家康,家光に重用される。山王一実神道復興。
 真空大師 1592-1673 隠元。日本黄檗宗の祖。中国出身。萬福寺を開く。インゲン豆を日本に伝える。

 六大師=弘法・伝教・慈覚・智証・慈慧・円光

十八大師
  伝教大師(最澄)・慈覚大師(円仁)・智証大師(円珍)・
  慈慧大師(良源)・慈摂大師(真盛)・慈眼大師(天海)・
  弘法大師(空海)・道興大師(実慧)・法光大師(真雅)・
  本覚大師(益信)・理源大師(聖宝)・興教大師(覚鑁)・
  月輪大師(俊仍)・見真大師(親鸞)・慧灯大師(蓮如)・
  承陽大師(道元)・円光大師(源空)・聖応大師(良忍)

国師

大師と同様に朝廷から贈られる諡号ですが、主に禅宗の僧に贈られます。
次のような人がいます。

聖一国師 1202-1280 東福寺開山。円爾弁円。1311年に国師号を贈られたが、
    これが最初の国師号。

夢窓国師 1275-1351 疎石。南禅寺住職。天龍寺開基。夢窓・正覚・心宗・
    普済・玄猷・仏統・大円という7つの国師号を歴代の天皇から贈ら
    れており、七朝帝師と呼ばれます。夢窓は後醍醐天皇から贈られた
    もの。造園家としても著名。

大燈国師 1282-1337 宗峰妙超。大徳寺の開山。後醍醐天皇に正燈国師、
    花園天皇に興禅大燈国師の号を賜る。

鑑智国師 1177-1247 証空。善慧。浄土宗西山派の祖。
大明国師 1212-1291 無関普門。南禅寺開山。東福寺3世。
仏光国師 1225-1286 無学祖元。円覚寺開山。北条時宗が蘭渓道隆の後任として宋から招いた。
円通大応国師 1235-1308 南浦紹明。茶の礼式を宋より伝える。大灯国師の師。
仏国国師 1241-1316 応供広済国師。後嵯峨天皇の第三皇子高峯顕日。仏光国師に学ぶ。
     那須の雲厳寺の開山。
弘済国師 1247-1317 一寧一山。信州慈雲寺の開山。
知覚普明国師 1311-1388 春屋妙葩。相国寺第2世(事実上の開山)。
円照本光国師 1569-1633 崇伝。江戸初期に幕府に仕え黒衣の宰相と呼ばれる。
大光普照国師 1592-1673 隠元。真空大師の項参照。
天応大現国師 1573-1645 沢庵。沢庵漬けの元祖。徳川家光と親しかった。
正宗国師 1685-1768 白隠慧鶴。臨済宗中興の祖。和製の公案を多数作る。

(この他にも、もう少しいるはずですが資料がありません)

聖人・上人

徳の高い僧に対する尊称ですが、各宗派ごとにルールがあります。

浄土真宗では親鸞のみ聖人とし、本願寺の法嗣は上人とします。

浄土宗では「上人」しか使いません。法然でも法然上人で良いです。

日蓮宗では日蓮は大聖人とし、日蓮の六人の高弟が聖人です。
日蓮宗では普通のお寺の住職でも上人と呼ばれます。

三蔵

仏教の教典である経・律・論の全てに通じた人のことをいいます。
次の4人がいます。

 玄奘三蔵 602-664 単に「三蔵法師」といえばこの人。西遊記のモデル。
     インドから大量の経典を中国に持ち帰り、その後翻訳に一生
     をかけた。現在私たちが唱えている般若心経は玄奘の訳。

 義浄三蔵 635-713 玄奘に続いてインドに渡り、多くの経典を持ち帰る。
     華厳経の新訳など多くの経典の翻訳に携わっている。

 不空三蔵 705-774 弘法大師空海のお師匠様の恵果和尚のお師匠様。
   不空金剛とも称される。多くの密教経典を中国語に翻訳。日本語
   の週の名前(月曜とか火曜とか)は不空の著書に由来する。

 善無畏三蔵 637-735 不空が密教の根本経典のひとつ金剛経の翻訳に
   関わっているのに対して、それに先行する善無畏はもうひとつの
   根本経典・大日経の翻訳に関わっている。

菩薩

本来は仏の道の修行をしている人のことをいいますが、後にはかなり仏様に
近い存在のことをいうようになりました。生身の人間で「菩薩」と呼ばれる
のは次のような人です。

 龍樹菩薩 150?-250? 大乗仏教の確立者。空の思想を大成。日本中国では
    諸宗の祖として崇敬されている。

 行基菩薩 668-749 日本初の大僧正で、民間で人気が高く、聖武天皇に
    依頼されて奈良東大寺の大仏建立に力を尽くした。

このほかに、役行者(えんのぎょうじゃ)は神変大菩薩、叡尊(1201- 1290)は
興正菩薩の諡号を受けていますが、あまり使われません。

禅師

禅宗のお坊さんに対する尊称です。いくつか諡号として贈られたものもあります。

行者

行者とは行をする者ですが、主として正規に僧として得度していない人を
いいます。つまり民間修行者ですが、この「行者」が尊称になっている
のは次の役行者(えんのぎょうじゃ)のみです。

 役行者 634?-710頃 役小角(えんのおづぬ)。修験道の祖。賀茂一族の人。
    702年に弟子の泰澄上人(白山の開基)と一緒に京都愛宕山に登っている
    ので、亡くなったのはそれより後ということになる。奈良時代(710-)
    初期に亡くなったのではないかとの説もあるので710と書いてみた。

和尚

僧に対する一般的な尊称。一般には「おしょう」と読んでいるが「おつ」と
読む流儀もある。

住職

寺の責任者の僧。各宗派ともにそれぞれある一定の修行を経て資格があると
認定された者だけがなることができる。


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