弓を持つ愛の神

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神々の連携に関して考えるようになったきっかけは、だいたい6年ほど前ではないかと思うのですが、ある時、愛染明王の写真と、キューピッド(エロス)の写真を、2日続けて見た時でした。

その時、ふたつの写真の像のポーズが全く同じであることに気づいて!?と思ったのです。

考えてみると、愛染明王もキューピッドも「弓矢を持つ愛の神」です。キューピッド(エロス)というのはひじょうに古い神であり、一般に母親とされているピーナス(アフロディーテ)よりも古いかも知れないという話を以前ギリシャ神話の研究家の方から聞いたことがあったので、つまり古いというのは、この神がアーリア起源のとても古い神で、東に伝わったものが愛染明王となり、西に伝わったのがキューピッドになったのではないか、ということをその時思いついたのです。しかし、その考えは長らく、心にしまっていました。それは、ふたつの神を結びつける「ステップ」が不足していると感じていたからです。

日本付近の密教文化圏の中の愛染明王、一方はギリシャ神話圏のエロス(ローマ神話のキューピッド)。距離が離れすぎていて、同じ弓矢を持つ愛の神といっても、偶然の一致ということもあるのではないか。そうも考えられました。

ところがここに3〜4年ほど前、画期的な情報を持ってきてくださった方がありました。それはインド文化の研究をしておられる方で、その人にこの話を何気なくしていたら「間にインドのカーマが入るのではないか」と指摘してくださったのです。

カーマというのは「カーマスートラ」のカーマで、インドの愛の神ですが、このカーマもなんと弓矢を持っているのです。愛染明王はチベットでも「タキラージャ」という名前で崇拝されています。日本:チベット:インド、愛染明王:タキラージャ:カーマ。そしてインドまでくれば、となりは同じアーリア人の国ペルシャ。エロスのふるさとギリシャとは充分近い文化圏になります。もしペルシャやメソポタミアに同様の神が見つかれば、この連関の鎖はほぼ完成する感じなのですが、それは今後の研究の課題ということになるでしょう。

ともかくもこのカーマを知ったことで、私はこの「愛染明王=エロス(キューピッド)」説を公言するようになりました。

(2004-04-26)


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